人気ブログランキング | 話題のタグを見る

水牛だより

「カフカノート」その後

「カフカノート」の稽古は毎日続いている。台本のタイトルには「カフカノート一——朗唱としぐさとピアノのために」とある。朗唱としぐさとを受け持つ四人(波多野睦美、足立昌弥、遠藤良子、松之木天辺)とピアノの一人(高橋悠治)はみなカフカの持つペン先となったかのように、カフカの夢をつむいでゆく。

震災のあとぷっつりと途絶えていた予約のメールや電話がまた来るようになったのはうれしいけれど、こんな状況なので、公演中に余震があったらと考えないわけにはいかない。シアターイワトは以前は倉庫として使われていた建物なので、頑丈に出来ている。客席はなるべくゆったりと余裕を持たせる。ギュー詰めというのも楽しいものだけど、今回はそれはしません。そしてドアは開け放っておく。いつもは当日来て下さった人には全員見てもらうようにしているが、今回に限って、80人で締め切ります。出来るだけ前日までにご予約を!

そして、震災とは関係なく、公演を決めたときからUstream中継を予定して準備を進めてきた。Ustチームはこれまで何度か経験を積んで、確実に腕を上げてきている。期待してください。中継は4月16日19時の回です。
http://www.ustream.tv/channel/sora-kita
# by suigyu21 | 2011-04-10 11:57 | Comments(0)

大失敗!

突然ハッと。。。そうだ、今月の水牛のトップに載せようと計画していた高銀の詩を忘れてた。なんとしたこと。大失敗だ。ここ二、三日の微熱はそのせいだったのかも〜。というわけで、とりあえずもうひとつの水牛だよりのほうに掲載しました。
# by suigyu21 | 2011-04-10 11:56 | Comments(0)

椿よ椿

椿の花というものをきちんと意識して見たのはちょうど去年のいまごろだった。今年のいまは、去年のいまごろより花はたくさん咲いている。そう感じるのは少しはアンテナの精度があがったからかもしれないが、まわりにはじつに椿の木が多いことに感嘆してしまう。日本全国そうなのだろうか。そうだといいな。種類もたくさんある。花を見れば椿だと分かるけれど、木の幹や葉だけでは特定できないほどにさまざまだ。

世田谷通りと交差する環七のあたりの街路樹は椿で、まだ背の低い木々がまばらに植えられてぼったりと赤やピンクの花を咲かせている。ちょっとかわいそうな景色だ。歩いていて見入ってしまうのは庭に植えられている変わった花で、ほんの少しだけその家の前に立ち止まっていると、その家のガラス戸の内側からブルドッグに睨まれたりする。私と目が合っているその真剣な顔がおかしくてつい笑う。花はおしなべて去年のほうが美しかった。いろんな要素があるから、毎年同じというわけにはいかない。過ぎた夏の暑さのことも思い出しました。きょうは枯れ木に百舌鳥と雀がまるで花のようにたくさん止まっているのも見た。

花や木や犬や鳥や、そして海や空や月や、そういう身近なものに向い合っているときには言葉はいらない。語る必要のない状態というのは生きもののあるべき状態のひとつなのかもしれないな。何かが終わった世界の片隅で、そんなことを思った三月の終わりの日。
# by suigyu21 | 2011-03-31 21:24 | Comments(2)

センセイは隠遁中

落ち着かない日々が続いているけれど、週明けは文句のない快晴の日だった。小さな田舎町へ隠遁した気持ちのなかに自分を置き、楽しんでいる、という片岡義男さんと午後のコーヒーを飲むべく、隠遁先の小さな田舎町、つまり片岡さんのご自宅のある町へ向かう。宙吊りになっている仕事の相談もあったのだ。駅前の小さな喫茶店で震災後の再会を果たした(笑)。

地震が来たとき、片岡さんは電車で都心に向かう途中で、各駅停車から急行に乗り換えたところだったそうだ。電車はそのまま止まってしまったので、自宅に戻るため下り車線のホームへ行き、止まっていた電車に乗って、動き出すまでそのまま10時間、ということは聞いていた。それ以来、電車には乗っていない、つまり隠遁している。ダイアが元に戻るまでは乗らないらしい。昔から文学者とは自宅の近所を散歩する人で、そのことを作品にしてきた。ぼくもそういう人になろうかなあ、というアイディアには、反射的に「それはムリ!」と言ってしまった。

四月に刊行予定だった短編集『木曜日を左に曲がる』は少し延期になった。順調(?)にいけば五月かな。本文は出来ているので、あとがきの分量と内容について双方合意。その次の短編集のための一編についてのプロットも聞いた。小説をつかって展開する小説論ともいうべきそれは、とてもとても観念的なものだった。むふふふ、楽しみ。

小説の原稿というリソースを預かっているわけだから、できるだけ早くそれを公にしたいと思う。震災のすぐあと、もしも出版するまでに長い時間がかかるようだったら青空文庫で公開してもいい、と片岡さんは言ってくださった。私もしばしその気になったが、でも、やはり本にすることをまずは考えようと思いなおした。その道が絶たれたわけではないのだから。青空文庫は最後の砦です。
# by suigyu21 | 2011-03-29 14:21 | Comments(0)

カフカノートの第一歩

「カフカノート」の台本を前にして、始めて関係者が集まった。作者以外はみな台本を初めて見る。テキストはすべてカフカで、それが一冊のノートに書かれているわけです。そしてすぐに36の断片をかわるがわる読んだり歌ったりをこころみた。

「カフカノート」の作者にとって、カフカはある種のライフワークになっている。今度は三回目になるが、連作ではなく、改訂というのがふさわしい。ヴァージョンはアップしているのかそれともダウンなのか、かんたんには決められないにしても、いくつか同じテキストを使っているのに、おもしろさが毎回違うことだけは確かだ。

ステージのプランも出来上がりつつある。節電問題とは関係なく、明かりは押さえられるだろう。それをほの暗いと感じるか、うす明るいと感じるかによって、ぜんたいのとらえかたも変わるのではなかろうか。いまのこのときだから強くそう思う。ぜひ見に来てください。4月16日(土)15時と19時、17日(日)15時の三ステージ、会場は東京神楽坂のシアターイワトです。

シアターイワトでは震災前に予定されていた公演を予定していた通りにすべておこなう。「カフカノート」もそのひとつ。ちいさいことがいい、とは具体的にはそういうことなのだ。打ち合わせがおわって劇場を覗いてみたら、時々自動が初日を前に最後の追い込みに入っていた。テーマは「死」だそうdeath。もちろん、見に行きます。
# by suigyu21 | 2011-03-25 00:16 | Comments(0)