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水牛だより

夢のあとに

三日間とも満席のトロイメライ。来てくださったみなさま、ありがとうございました。

初日があけてしまえば、やるべき細かいことはいろいろあるけれども、制作にかかわった者としてはすでに仕事はおわっている。劇場のドアに近い補助席でステージを見ながら、つい先のことを考えて、ひとつ企画を思いつく。せっかく『高橋悠治ソングブック』を出したのだから、「ぼくは十二歳」を男の人に歌ってもらおう、と。この歌を最初に歌ったのは中山千夏さんだったからか、その後も歌ってくれたのはみな女の人。十二歳の男のこの歌は声変わりしてしまった男性より女の人の声のほうがふさわしいという気もするけれど、いつか男の人の声で聞いてみたいとずっと思っていた。「寝物語」も病気でいじめられて、死んでゆく男のこの歌だ。うん、その機会をつくってみよう。思いつくと黙っていられなくて、2、3人に話してみたら、ライブができそうな気配が漂ってきた。トントンと話がすすむ場合はいいものができる。これまでの経験がそう言います。
# by suigyu21 | 2008-09-22 20:43 | Comments(4)

あすからトロイメライ

トロイメライの前夜ともなると、そのためにほぼ順調な時間が過ぎてきたと感じる。楽観癖とでもいうものでしょうか。あすの初日の次は中日、そして千秋楽という三日かぎりの夢の夜。一時間ほどの航海を楽しんでください。

先週末からは製本三昧の日々だった。「高橋悠治ソングブック」を綴じ、その合間に片岡義男「階段を駆け上がっていった」(書き下ろし小説)を綴じ、この一週間はかけだしの職人の気分です。製本のための特別な訓練は受けていないのに、なぜこんなことになっているのかよくわからないが、どんな本にするのか考えるのはおもしろい。その考えを実際にかたちにしてみると失敗も多いけれど、失敗からはまた次のやりかたを模索できる。製本以外のことにも応用できる。さあ、トロイメライがおわったら、どこへいこうかなあ? やっぱり楽観癖です。
# by suigyu21 | 2008-09-18 23:50 | Comments(0)

『高橋悠治ソングブック』を入稿した

土曜日の深夜に『高橋悠治ソングブック』のデータをアドヴァンスという旭川にある印刷所に送って、やっと一安心。アドヴァンスの親切で早い対応のおかげで、今週末には印刷はできあがる見込み。ありがたいことです。あとは無心にせっせと綴じて、19日にはシアターイワトのロビーに並べられそうだ。限定100部です。

作曲家と編集者の家内工業は、家内というもろもろをもひきずって、なかなか思うとおりの仕事一筋にはいかない。さらに、今まで愛用してきたコンピュータの調子が悪く、新しいマシンは用意してあるものの、それではアプリケーションが動かなかったりと、とても面倒な事態に陥っている。そうならないといいなあ、と心から思うときに必ずそうなる。どうしてでしょうね。

レイアウトしたものをpdfに書き出しているときに、ちいさな間違いに気づいたりもしたが、そのまま進めてしまった。完全な楽譜なんてほとんどないぜ、と言われてもあまり慰めにはならないが、時間の制約でしかたがなかった。とはいえ、時間の制約がなければ完璧なものが出来上がるのかどうかは疑わしい。永遠に出来上がらないかもしれない。

テーラワーダ仏教のスマナサーラ長老の説法の本はたくさんあって、いくら読んでも飽きることなくおもしろい。修行や瞑想をしない身にも「今この場で役に立ち、自ら実践し理解する智慧の教え」は必要なのです。ソングブックを作ろうと思い立ったのは出来心だったが、実際に作業をするときにいつもこころにあったのは「理性の生き方というのは、少ない努力で、効率的に仕事することです。」という長老のひとことでした。
# by suigyu21 | 2008-09-10 18:38 | Comments(2)

トロイメライの始まりを感じる

きのうはトロイメライの稽古はじめ。出演者全員がそろって、シーンごとのイメージと具体的なやりかたとを作者からきく。それによると、トロイメライは晩年のベケットのスタイルによる如月小春、ということのようだ。原作から骨格として取り出されたことばは、その意味でなく音のほうを意識せよ。

初演の如月さんのステージはまっしろできらきらしていたが、あれから24年後の今度の舞台はたぶんうすぐらいものになるのだろうと思う。いわゆる芝居ではないけれど、出演者が突然ちがう人物にかわったりするから、それなりの工夫はありそうだ。

初演のときに出演していた人から予約のメールが来た。うれしい。
# by suigyu21 | 2008-09-03 20:15 | Comments(1)

ゆき、雪

「高橋悠治ソングブック」を作るという話をしたら、さがゆきさんがそれにあわせて手作りのしおりをつくるのだ! と張り切っている。三日間の「トロイメライ」限定のサプライズです。お楽しみに。ソングブック本体のほうは、用紙も手製本のしかたもほぼ決まった。あとは楽譜のファイルの完成を待ってレイアウトし、入稿の予定。

富士山が初冠雪だというニュース。片岡義男さんがまだテディ片岡だったころに書いた「新・雪国」を読んだ。もちろんあの「雪国」のパロディ。原作者がまだ生きているころに発表されたもので、とてもよく出来ている。登場人物は島村と駒子という名前のふたり。島村が駒子にふられて東京に帰るところで終る。おしまいの一行は「国境の長いトンネルを抜けると、もう雪国ではなかった。」つい笑って、そのいきおいのまま入力もしてしまった。いつか片岡義男選集を作ることになったら、収録しよう。良質のパロディを知ってしまうと、知る前と同じようには原作が読めなくなる。深い距離ができてしまうのですね。
# by suigyu21 | 2008-08-27 23:33 | Comments(5)

夏のひと

真夏の暑い日々、片岡義男さんから毎日メールが届く。夏はどこにも行かない、仕事しましょう、というのはほんとのことでした。うれしいな。メールといっても、本文は一文字もなく(笑)、編集中のエッセイ集の原稿がひとつかふたつ、ただ添付されてくるだけ。メールは自動受信しないで、日に何度かチェックしているが、だいたい片岡さんが送ってくれた一時間あとくらいには受け取っているというのもヘンな感じ。きっとそういうふうにできているのでしょう。

原稿を書くとき片岡さんはOASYSというワープロを(いまだに)使っている。OASYSといえば親指シフトキーボード、しかも超少数派の現役ならば、たとえメールでもPCで入力なんかしないんです。わたしもPCに移行するまでは使っていた親指シフト、入力するときの日本語と指との関係にストレスがないことは存分に知っている。だから本文がなくてもいいんです。しかし、受け取りました、という返信はきちんとしなければ。ついでに余計なことを書いてしまったりして、夏の日々は暮れてゆく。このペースでいけば、エッセイ集は秋にはできあがるかな。
# by suigyu21 | 2008-08-20 20:13 | Comments(4)

超強力両面テープ

「トロイメライ」に合わせて作ることにした『高橋悠治ソングブック』について、リトルマガジン「イワト」に原稿を書く。まだ細部のアイディアはかたまっていないが(遅)、ま、いつものことです。

原稿の次は「トロイメライ」のちらしを送る準備。チケットは作らずに、メールか電話で申し込むやりかただから、情報をメールで送ってもいいのだけれど、とても繊細なちらし(デザインは平野甲賀さん)をみんなに見てほしくて送る。伊東屋の夏のセールのときに上等な封筒の束をいくつか買っておいたが、それだけでは間に合いそうもないので、買い足しに出向くと。。。

伊東屋の封筒のフロアには「のり」のコーナーもあった。そこで売り場の詳しそうなおぢさんに訊いてみる。スリーブと紙とを貼り合わせたいんです、プラスチック用の接着剤でやってみたら、はがれちゃって。。。おぢさんは、ふふふ、と笑って、くっつかないでしょ? とうれしそう。のり業界の常識なのかな。のりではなくて、むしろ両面テープがいいかもしれませんよ、との忠告にしたがい、超強力両面テープというのを買ってみた。接合部に50N/cm2以上の圧力を加えて接着してください。と書いてあるが、どうしたらいいのだろう。ためしに貼り合わせてみたところは今のところちゃんとくっついている。ドキドキ。
# by suigyu21 | 2008-08-13 22:32 | トロイメライ | Comments(0)

製本部、ふたたび出張します

出張製本ワークショップの第二回目が近づいてきた。8月23日(土)午後いっぱい、スイッチ・パブリッシングのカフェ、レイニーディで。

いったい真夏の土曜日に人が集まるのだろうかと心配したが、そろそろ定員いっぱいになるらしい。よかった。

今回は絵はがきを綴じる。片岡義男さんの絵はがきストーリーを何枚か、それに自分の好きな絵はがきを加えて10枚くらい。表紙に革を使う。いろんな要素があり、工夫できる部分も多い。製本の四釜さん、革担当の原田さんとあれこれ細かいことを相談するのは楽しい。きっと参加者の数だけゆかいな「本」ができることでしょう。

当日カフェは通常通り営業していますので、コーヒーを飲みながら観察するのもおすすめです。

テーマ作家(笑)片岡さんも「見にいきます」と言ってくださった。絵はがきそのものを綴じてしまうのでなく、透明なスリーブを何枚か綴じれば、絵はがきをいれかえて楽しめる、とのご意見だったので、それを作りはじめた。が、スリーブと紙とを貼付けるための接着剤がない。工作用のものがあるにはあるのだが、紙かプラスチックかどちらかに比重(?)がかかってしまって、少しの力ではがれてしまうことを発見。性質の違うものを接着するのはむつかしいのだった。ただいま考慮中。当日までに出来上がるかどうか。。。
# by suigyu21 | 2008-08-11 15:58 | Comments(1)

子守唄の夢

如月小春さんは「トロイメライ」のためのマニュアルというのをあとがきのように書いている。子供、ピアノ、ビデオ、発砲スチロール、アナウンサー、ヒョロリ、新宿、マンション、仮面、トロイメライ、について何行かずつ。トロイメライは「子守唄」という意味だと思っていた、とある。原作には少しだけそういう感じが残っているようにも感じられる。

初演は仮面劇だったと記憶している。劇場に入ると、<人類>が真っ白い仮面と真っ白い衣装で真っ白い地球を抱えて暗闇に座っているのだった。その<人類>は今度も当然登場します。彼がいなくては物語が始まらない。まっさらな仮面と衣装で演じるのは初演と同じく楫屋一之さん。

本屋で『トロイメライ』(島田虎之介)という漫画本に呼ばれた。如月さんの「トロイメライ」とは何も関係もないけど、買いました。一台のピアノをめぐって、二十世紀のはじめから、カメルーン、ジャカルタ、イラン・イラク国境、東京などで物語が展開するらしい。
# by suigyu21 | 2008-08-06 20:31 | トロイメライ | Comments(0)

1984年といえば

1949年に出版されたジョージ・オーウェルの小説のタイトルでもありますが、如月小春さんの「トロイメライ」初演の年でもあります。この一夜の夢のストーリーをいろどるのは居間のテレビとテレビゲーム、「ジリリリリ」と鳴る電話やテープレコーダーなどのモノたち。ずいぶん古いように思えるけれど、テレビゲームはコンピュータゲームへ、すでに発売されていたウォークマンは携帯電話へとまっすぐにつながっている。そう考えると、このころに子どもたちが生死の境をひょいと超えはじめたのも偶然ではないだろう。登校拒否の子どもが増えてはじめて社会問題となったのもこの年だった。
# by suigyu21 | 2008-08-02 14:11 | トロイメライ | Comments(1)