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水牛だより

2011年 03月 29日 ( 1 )

センセイは隠遁中

落ち着かない日々が続いているけれど、週明けは文句のない快晴の日だった。小さな田舎町へ隠遁した気持ちのなかに自分を置き、楽しんでいる、という片岡義男さんと午後のコーヒーを飲むべく、隠遁先の小さな田舎町、つまり片岡さんのご自宅のある町へ向かう。宙吊りになっている仕事の相談もあったのだ。駅前の小さな喫茶店で震災後の再会を果たした(笑)。

地震が来たとき、片岡さんは電車で都心に向かう途中で、各駅停車から急行に乗り換えたところだったそうだ。電車はそのまま止まってしまったので、自宅に戻るため下り車線のホームへ行き、止まっていた電車に乗って、動き出すまでそのまま10時間、ということは聞いていた。それ以来、電車には乗っていない、つまり隠遁している。ダイアが元に戻るまでは乗らないらしい。昔から文学者とは自宅の近所を散歩する人で、そのことを作品にしてきた。ぼくもそういう人になろうかなあ、というアイディアには、反射的に「それはムリ!」と言ってしまった。

四月に刊行予定だった短編集『木曜日を左に曲がる』は少し延期になった。順調(?)にいけば五月かな。本文は出来ているので、あとがきの分量と内容について双方合意。その次の短編集のための一編についてのプロットも聞いた。小説をつかって展開する小説論ともいうべきそれは、とてもとても観念的なものだった。むふふふ、楽しみ。

小説の原稿というリソースを預かっているわけだから、できるだけ早くそれを公にしたいと思う。震災のすぐあと、もしも出版するまでに長い時間がかかるようだったら青空文庫で公開してもいい、と片岡さんは言ってくださった。私もしばしその気になったが、でも、やはり本にすることをまずは考えようと思いなおした。その道が絶たれたわけではないのだから。青空文庫は最後の砦です。
by suigyu21 | 2011-03-29 14:21 | Comments(0)