「理性に油を注ぐ酒」
「だってね、あなた、かつてはホントに凄かったんですよ。食事の伴どころか、食事代削ったって酒代だけは確保する。飲むためだけに、飲んでいた。ただし、昼間から飲むことだけはするまい、その一線を越えるのはマズイと思っていたので、ひたすらに夜を待つ。暗くなってくると、ソワソワする。
さあ飲めるぞ、嬉しいな。
私は大勢で酒を飲むのが好きではない。うるさい。くだらない。集中できない。したがって、夜な夜なアパートの一室で独り酒を飲むことになるのですが、これが凄かったんですよ。一升瓶を抱え込んでいるわけですから、ドブドブ注いで、ガブガブ呷る。安酒は全身を経巡り、思考は脳天を突き破り、もう火が出るかという勢いでしたね。
なんでそんなに酒を飲んだのか、欲したのかという理由が、つまりこれのようです。たぶん変わっています。酒を飲むと、私は異様に頭が冴えてくる。「頭が」というのは不正確で、正確には「理性が」というところ、酒を飲むと私はいよいよ理性的になってくる。これが自分で面白くて、夜な夜な鯨飲しては理性に油を注いでいたようです。」
(『暮らしの哲学』池田晶子(2007 毎日新聞社))
飲んでいる時、「異様に頭が冴えてくる」状態になることは私にもある。お酒は強くないし、飲むようになったのは30を過ぎてからなので、こういうのを読むとうらやましい。昼間からキンと冷えたジンなんかをストレートで飲んで、すずしい顔をしていられたらすてき。休日の晴れた昼にそんなことを思ってみる。見果てぬ夢です。
さあ飲めるぞ、嬉しいな。
私は大勢で酒を飲むのが好きではない。うるさい。くだらない。集中できない。したがって、夜な夜なアパートの一室で独り酒を飲むことになるのですが、これが凄かったんですよ。一升瓶を抱え込んでいるわけですから、ドブドブ注いで、ガブガブ呷る。安酒は全身を経巡り、思考は脳天を突き破り、もう火が出るかという勢いでしたね。
なんでそんなに酒を飲んだのか、欲したのかという理由が、つまりこれのようです。たぶん変わっています。酒を飲むと、私は異様に頭が冴えてくる。「頭が」というのは不正確で、正確には「理性が」というところ、酒を飲むと私はいよいよ理性的になってくる。これが自分で面白くて、夜な夜な鯨飲しては理性に油を注いでいたようです。」
(『暮らしの哲学』池田晶子(2007 毎日新聞社))
飲んでいる時、「異様に頭が冴えてくる」状態になることは私にもある。お酒は強くないし、飲むようになったのは30を過ぎてからなので、こういうのを読むとうらやましい。昼間からキンと冷えたジンなんかをストレートで飲んで、すずしい顔をしていられたらすてき。休日の晴れた昼にそんなことを思ってみる。見果てぬ夢です。
by suigyu21
| 2007-09-22 11:51
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