ダイヤモンドの指輪
このブログが『水牛のように』という一冊の本になる。
自分の本を作るなんて、考えたこともなかったことが起こるのはこの世の不思議のひとつだと思う。いつになく強い熱意でhorobooksの平野公子さんから本にしたいと言われたとき、公子さんは相方の平野甲賀さんを亡くしたばかりだったから、本を作ることで彼女が少しでも元気を取り戻すことができるなら、と考えたことは否定できない。
今月の水牛に公子さんの原稿が載っている。甲賀さんと公子さんのミエさん(=わたし)についての会話がおもしろくて笑ってしまった。そうか、『水牛のように』という本は甲賀さんがわたしにくれたダイヤモンドの指輪だと思えばいいのだと思うと、さらに笑えてくる。
甲賀さんは、ミエが本を出すときには装丁はやるよ、と言っていた。それを、甲賀さんを最後に支えたデザイナーの吉良幸子さんが受け継いでくれた。カバーの絵は木村さくらさんが描いてくれた。彼女は生まれたときから知っている。幼いころから絵を描くのが好きで、きりりとした大人になったいまも描きつづけている。編集の賀内麻由子さんとは片岡義男.comの仕事で知り合った。彼女の担当は片岡さんの膨大なエッセイから、毎日ひとつ、その日にふさわしいものを選んでアップすることだった。その仕事ぶりを見て知っていたので、公子さんから彼女の名前が出たときは、とても心強かった。読後感想文なるものを書いてくれた斎藤真理子さんと出会ったのは比較的最近のことだが、じつは以前からお互いの存在はよく知っていたのだった。実際に出会って新しい友となった。そのあれこれは感想文に詳しいので、そちらをぜひ読んでください。
夏に出版されたイリナ・グレゴリさんの『優しい地獄』の編集に混ぜてもらった。イリナさんは出来上がった本を、ごく自然に「わたしたちの本」と言った。わたしも同じように『水牛のように』はわたしたちの本だと言いたい。
by suigyu21
| 2022-10-01 20:07
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