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水牛だより

波乗りおばあちゃん

足元の堆積を片付けていたら、フォルダのなかからむかしの新聞の切り抜きが出てきた。朝日新聞2008年5月26日の記事で、「70代 波乗りおばあちゃん」というタイトだ。浦本房江さん(77)と今野礼子さん(79)がこどものころに移住したブラジル南東部の港町サントスでサーフィンにやみつきになったという。浦本さんは1933年、2歳のときに家族とコーヒー農園に入植し、その後サントスに移ってからは港の近くで軽食店を営み、70歳で引退。それからサーフィンをはじめた。ボードに立って波に乗っている写真がある。「立って乗れると、天下を取ったような気分になる」というコメントがかっこいい。

大学を卒業して勤めた小さな出版社は、いま思うと相当なブラック企業だった。大小さまざまなストレスにさらされつつも毎日通ったのは、いまよりもっと世間知らずだったからだろう。通勤電車の窓から千駄ヶ谷にあるスケートセンターの看板を毎日見ていて、ある日の帰りにふと、滑ってみようと思った。フィギュアスケートをやっていた叔母に連れられて、何度か滑ったのは小学生のころ。こどもだったからか、叔母のおしえかたがよかったからか、最初からなんとかスイッと滑ることが出来たのだった。10年ぶりくらいに靴を借りて、氷の上に立ってみると、10分後くらいには滑りかたがよみがえってきて、自分としては快適に氷に乗れるようになった。そして、滑っているときは滑っていることが快適で、そのことだけに集中するから、ストレスなどはどこかに置き去りにして、自然にリフレッシュしてしまう。発見でした。

白いスケート靴を買って、ずいぶん通ったけれど、なぜやめたのか、記憶にない。ストレスがそれほどでもなくなったから? あるいは会社を辞めたから?

波乗りは波がなければはじまらないし、スケートは氷がなければはじまらない。波や氷のちからを借りて、自分を軽く感じられるところがいい。波や氷が身近にあれば、きっとやみつきになる。波乗りおばあちゃんの記事を読むと、いまの自分にもまだどこかに可能性があるように思えてくるが、はて。。。

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by suigyu21 | 2021-10-01 21:40 | Comments(0)