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水牛だより

本と本と本と

ジーン・リースが長年ベッドで執筆する習慣だったと『天才たちの日課女性編』で知り、寝て読書をするし、その日最初のコーヒーはできるだけ寝床で飲む習慣のわたしはベッドの方面に向けてもう少し努力するべきだと思った。

同じ本で、売れっ子作家だったドロシー・パーカーが、書くことが嫌いで、締め切りをほとんど守れなかったことも知る。「あるインタビューで「やっていて楽しいことはなんですか」ときかれたときに、「書くこと以外はぜんぶ楽しい」と答えている。」というくらい徹底している。書くことが嫌いな人はどんなことをどんなふうに書くのだろうかと興味を持ち、近くの図書館で検索してみた。そして借りたのは『ガラガラヘビの味 アメリカ子ども詩集』(アーサー・ビナード/木坂涼編訳 岩波少年文庫)だ。ドロシー・パーカーの詩は「美しいバラ一輪」と「快楽主義の欠点」の2編が収録されている。「快楽主義の欠点」というタイトルはすばらしい。

この詩集のなかのエミリー・ディキンスンは、「いちばん心が通じるのは(My best acquaintances are those)/言葉で話したことのない相手。」といっている。そう思うこと、あるなあ。

そしてシェル・シルヴァースタインの「おなじようなもの(No Difference)」

ピーナツほど小さくても
巨人ほどでっかくても
明かりを消せば大きさなんか
たいしてかわりがない。

王さまくらい金持ちでも
イエダニくらい貧乏でも
明かりを消せば価値なんか
たいしてちがわない。

肌の色が黒でも黄色でも
赤、オレンジあるいは白でも
明かりを消せば外見なんか
にたようなもの。

ひょっとしたらこの世の
たくさんの問題をかたづけるには
神さまが手をのばして
パチンと明かりを消すのがいいかも!

  * *

これらの詩がまだ頭のなかにただよっているときに、与那国の小さな出版社カディブックスから『くらやみに、馬といる』(河田桟)がやってきた。郵便受けから封筒を出して、差出人の住所に八重山郡与那国町の文字を見るうれしさといったら! エレヴェーターのなかで封筒をあけ、部屋に入って、ベッドではなく、立ったままで読み始め、そのまま読み終えた。くらやみ(No Difference)と馬(My best acquaintances are those)についての言葉に、わたしがなにかを付け加えてはいけないといまは感じるので、本のおしまいのほうにある断片を引用しておくことにする。

「やさしいくらやみはどこまでも広がっている。境界線はない。正しさも誤ちもない。善も悪もない。幸せも不幸せもない。よりよくも、よりわるくもならない。あらゆる存在が溶け合いながらそこにある。あらゆるものが変わり続けている。」


by suigyu21 | 2019-12-01 13:37 | Comments(0)