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水牛だより

光と影と

外出するとき、天気がよければカバンに小さなデジカメを入れる。スマホで写真を撮る人が増えたので、すでに絶滅したであろうスマホよりも小型のカメラだ。カメラを持っていると、撮るべき被写体がちゃんと私を呼んでくれる。歩みをとめて撮るのは風景の一部分が多い。生物のように動いているものは、シャッターチャンスを見極めるのがむずかしい。ときにそのチャンスに恵まれることはあるけれど、シャッターを押したときにはすでに遅いことが多い。つまり、下手、なのだ。

図書館の裏に鯉の池がある。色の派手なのや地味なのや、大きな鯉がそこで生きている。通りがかったときに、岸の近くに群れていたので、写真に撮ってみた。カメラのモニターで確かめると、いい感じだった。次にそこを通ったときには快晴だったので、鯉が近くに来るのをしばらく待って、また撮った。鯉は人の気配で寄ってくるようにも思える。ずっと人間の近くで生きているのだものね。何枚か撮ってからモニターで確認すると、よく写っていない。前に撮ったときは曇っていたので、きょうのほうがよく撮れそうな気がしていた。私の眼では水の中を泳ぐ鯉たちはちゃんと見えていたけれど、水が太陽からの直射光を反射しているために、カメラでは水中はよく写らないのだった。鯉を撮るなら曇の日にするべきことをまなんだ。そして、そのときから太陽光というものをきちんと意識するようになった。

そんな観察眼がとらえた光と影の一枚をここに載せよう。近くにファミリーレストランがあり、よくその前を通る。レストランは二階にあり、建物の下の一階は駐輪場になっていて、なぜか床は緑色に塗られている。午後の太陽の光がどこかの隙間から緑色のコンクリートの床に届いていた。その端に、レシートが落ちていて、少し湾曲している。その影がくっきりとある。ただそれだけの写真だが、立ち止まってシャッターを押した。光と影が作る偶然の一瞬を自分では気に入っている。見てもらった少数の友人たちは、これはなに? とか、意味不明、とか言っている。

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by suigyu21 | 2019-02-24 20:00 | Comments(0)