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水牛だより

虎が雨

業務で毎日小説まみれになっている。寝る前の読書タイムは、すぐに眠くなってしまうため、時間は短いけれど、なにか少しちがったものを読もうと思い、昨夜は『雨のことば辞典』を開いてみた。雨づくしの1200語、と帯にある。日本は雨がたくさん降るから雨のことばは1200語もあるのだね。地域に特有なものもあるから、誰でも知っているのはそのうち半分くらいだろうか。

虎が雨、というのは陰暦5月28日に降る雨。鎌倉時代のこと、あまりよくわからない領地争いがきっかけとなって、源頼朝に曽我祐成がその日に殺された。愛人であった遊女の虎御前が命日には悲しみのため泣く涙雨を「虎が雨」と呼ぶようになった。この日は太陽暦でいうと、6月28日にあたり、雨の特異日なのだそうだ。この日の東京で雨が降る確率は49パーセントもあり、一年のうちでもっとも雨の振りやすい日であるらしい。虎御前はいまでも泣いているのだろうか。

インドネシアの作曲家スラマット・シュークルが3月26日に亡くなっていたことを知ったのはつい最近のことだ。会ったのは数回ほどだと思うが、変わった人だったので、強い印象がある。スラマットという変わった人がジャカルタやスラバヤで生きていて、いつも変わったことを考えていたり行動したりしている。遠くにいても、そのことは自分が生きている一部だった。いなくなってしまったのだと思うと、ものすごくさみしい。虎御前のように命日に雨を降らしてみたいものだ。

ジャカルタ・ポストの追悼記事がすばらしい。
http://www.thejakartapost.com/news/2015/03/26/in-memoriam-slamet-abdul-sjukur-silence-or-music-beyond-grave.html


by suigyu21 | 2015-06-20 20:32 | Comments(0)