すきまからとびだす
コンクリートで地面がびっしり覆われている東京の町だけど、土はある。住宅を解体したり、建て始めたりする都合で地面を掘り返したばかりのところは土だけが見える。けれどもほんの少し時間がたつと必ず草が生えてくる。解体から着工まで一夏あれば、いろんな草で覆われてしまい、土は見えなくなる。ひろびろとしたところほど、草の生命力そのままに生い茂って、人間の背丈くらいならすぐに越えてしまう勢いだ。
土の上をびっしりと覆っているコンクリートだが、じつはすきまだらけ。すきまの下は土だから、偶然そのあたりにいた植物の種子が芽を出すのは自然のいとなみで、それまで待っていた時間が長かったせいなのか、妙に力強い風情だ。夏の終わりのすきまはとびだしだらけ。

by suigyu21
| 2014-09-29 21:14
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