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水牛だより

アスパラガスの事情

この夏のこと。便器がひとつだけ置かれた狭いトイレの空間に、ほのかに、しかし確実になにやら匂いがたちのぼる。匂いのもとは自分が排泄したばかりの尿だ。悪臭というわけではないが、かすかに藁の匂いを含んだようなそれ。何日かおなじ匂いが続いたので、泌尿器のどこかがどうかしてしまったのだろうかと、少し不安になりPCの前にすわって検索してみた。キーワードは「尿」と「匂い」だ。いくつか出てきた検索結果を流し読みしているうちに、「アスパラガス」という単語を複数見た。

アスパラガスを食べると尿が匂うと複数の検索結果がおしえてくれる。それだ! 新鮮なアスパラガスをたくさんいただいて、毎日のように食べている夏だった。採りたてということもあって飽きないおいしさだから、毎日新鮮においしく食べ続けた。ためしにある一日、アスパラガスを食べないでいたら、尿はなんの匂いもしなかった。因果関係がわかってみれば、なあんだ、というわけで、アスパラガスを食べているあいだは意識的に匂いを楽しみ、そしてアスパラガスを食べ尽くしたあとはすっかり忘れた。

だが。新月バーのチイママ佐知子さんの新しい著書『なんらかの事情』を読んでいたら、この匂いについて書かれているところを発見して、にわかにすべてを思い出した。黙っていられなくて報告したところ〈アスパラ友の会〉に新規加入を許された。

いろいろと調べてみると、尿に匂いが出る人とそうでない人がいるようだし、たとえ匂いが出ていてもその匂いを感じない人のほうが多いという調査もある。両方とも「あり」で〈アスパラ友の会〉会員にもなったのだから、もっと探ってみようか。立ちのぼる匂いによって、アスパラガスの新鮮度くらいはすぐにわかるような気がするけれど、食べたあとにそんなことがわかっても何の役にもたたないな。
by suigyu21 | 2012-11-18 14:43 | Comments(0)