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水牛だより

トロイメライ、死を夢みる

如月小春さんの「トロイメライ」はごくおおざっぱにいうと、12歳の子供が自分の意志で死んでしまう、というおはなしだ。夢のように。2012年の後半といういまの現実としてはめずらしくないことではあるが、子供であるところがどこまでも痛ましい。

尾崎哲也さんによる、前回(2008年)の「トロイメライ」の評。(REAL TOKYO)
いちばん下にある終演後の写真を見ると、ポール・ズーコフスキの顔が見える。そうか、彼も見てくれたのだったと思い出す。
http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_196/

高橋悠治さんの、これも前回の「トロイメライのあとさき」(水牛)
http://www.suigyu.com/sg0811.html#09

そして今週末、13、14日に再演です。「高橋悠治50人のためのコンサート」その4回めあすからガッツリ稽古です。

子供が自分の意志で死ぬというテーマは片岡義男さんの『少女時代』(1990年)にまでのびていく。こちらは四人の少女の死をめぐるストーリー。「トロイメライ」ではカイにサキという友だちがいたように、「少女時代」は四人の少女たちの友情の物語でもある。カイとサキ、リカとハチミとナナエとトモ。彼らは、いじめられてひとりぽっちで死んでいく子供のようには孤独ではない。だからいっそう死ということの抽象性が際立つ。架空の世界の彼らの死はそのまま、現実の世界の夢の灯りとなっているみたいだ。

『少女時代』は入力して、校正待ちの状態。近く青空文庫で公開する。
by suigyu21 | 2012-10-07 20:51 | Comments(0)