満月バー
9日土曜日、「内澤旬子のイラストと蒐集本展」開催中のスタジオイワトでの一夜だけのお楽しみは満月バー。太陰暦を見間違えたのか、当日は満月はすでに過ぎていて、寝待ち月でした。しかも雨もようで月は雲の上だった。
強い酒をショットでね、と合意してそれぞれ用意した。そのままのおいしさが至福に到達する深い単純さが我らにはふさわしい。
内澤さんが用意したのは、ハイチのラム、奥飛騨の米製ウォッカ、それに奄美は徳之島のラム酒ルリカケスの三種類。私は南大東島のラム酒コルコルアグリコール、奄美の黒糖酒まんこい、そしてフランスのCitadelldeというジン 。
もうひとりのチイママ清美さんは自分からこのバーで働きたいと言ってきたことからもわかる通り、だんぜんリキが入っていた。雨にも負けずお着物だったしガラガラと引っぱってきたトランクには酒瓶が何本も入っていたのだからね。イギリスのタンカレーのジンの最高級もの、キューバとジャマイカのダークラム、コーンウイスキー、そしてドイツの金粉が舞っているリキュール。(イワトにまだ置いてあるから写真に撮っておこう、と書きながら思いつく。。。)
金粉の入っている「オードヴィードダンチック」は強くて甘〜い。きっと食後酒なのね、と思っていると、木下杢太郎の詩集『食後の歌』の最初に「金粉酒」というのがあり、この酒のことを歌っていると清美さんがコピーを見せてくれた。
木下杢太郎全集で確認したので、その詩を記念に載せておこう。お酒には物語がついていたりするし、映画や絵などにもふと見つけることもある。そんなものを集めてみるのもおもしろそうだ。しかし、それは個人的な楽しみであって、文学バーなどにはけっしてしてはいけないと思う。(この決意は固い)
金粉酒 木下杢太郎
Fau-de-Vie de Dantzick.(オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
黄金(こがね)浮(う)く酒(さけ)
お お、五月(ごぐわつ)、五月(ごぐわつ)、小酒盞(リケエルグラス)、
わが酒舗(バア)の彩色玻璃(ステエンドグラス)、
街(まち)にふる雨(あめ)の紫(むらさき)。
をんなよ、酒舗(バア)の女(をんな)、
そなたもうセルを着(き)たのか、
その薄(うす)い藍(あゐ)の縞(しま)を?
まつ白(しろ)な牡丹(ぼたん)の花(はな)、
觸(さは)るな、粉(こ)が散(ち)る、匂(にほ)ひが散(ち)るぞ。
おお、五月(ごぐわつ)、五月(ごぐわつ)、そなたの聲(こゑ)は
あまい桐(きり)の花(はな)の下(した)の竪笛(フリウト)の音色(ねいろ)、
わかい黒猫(くろねこ)の毛(け)のやはらかさ、
おれの心(こゝろ)を熔(とう)かす日本(につぽん)の三味線(さみせん)。
Fau-de-Vie de Dantzick.(オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
五月(ごぐわつ)だもの、五月(ごぐわつ)だもの――
(V.1910.))
一夜とはいえ、設備投資はした。バーカウンターとその上から光を落としてくれる明かり、それに冷蔵庫はイワトがこの夜のために用意してくれたのだし、うまい酒を使い捨てのプラスティックのグラスで飲むことはありえないから、グラスその他も用意した。一夜限りなのに、なんだかみんな常連という感じがよかった。だから、またやります。また来てね。♡
強い酒をショットでね、と合意してそれぞれ用意した。そのままのおいしさが至福に到達する深い単純さが我らにはふさわしい。
内澤さんが用意したのは、ハイチのラム、奥飛騨の米製ウォッカ、それに奄美は徳之島のラム酒ルリカケスの三種類。私は南大東島のラム酒コルコルアグリコール、奄美の黒糖酒まんこい、そしてフランスのCitadelldeというジン 。
もうひとりのチイママ清美さんは自分からこのバーで働きたいと言ってきたことからもわかる通り、だんぜんリキが入っていた。雨にも負けずお着物だったしガラガラと引っぱってきたトランクには酒瓶が何本も入っていたのだからね。イギリスのタンカレーのジンの最高級もの、キューバとジャマイカのダークラム、コーンウイスキー、そしてドイツの金粉が舞っているリキュール。(イワトにまだ置いてあるから写真に撮っておこう、と書きながら思いつく。。。)
金粉の入っている「オードヴィードダンチック」は強くて甘〜い。きっと食後酒なのね、と思っていると、木下杢太郎の詩集『食後の歌』の最初に「金粉酒」というのがあり、この酒のことを歌っていると清美さんがコピーを見せてくれた。
木下杢太郎全集で確認したので、その詩を記念に載せておこう。お酒には物語がついていたりするし、映画や絵などにもふと見つけることもある。そんなものを集めてみるのもおもしろそうだ。しかし、それは個人的な楽しみであって、文学バーなどにはけっしてしてはいけないと思う。(この決意は固い)
金粉酒 木下杢太郎
Fau-de-Vie de Dantzick.(オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
黄金(こがね)浮(う)く酒(さけ)
お お、五月(ごぐわつ)、五月(ごぐわつ)、小酒盞(リケエルグラス)、
わが酒舗(バア)の彩色玻璃(ステエンドグラス)、
街(まち)にふる雨(あめ)の紫(むらさき)。
をんなよ、酒舗(バア)の女(をんな)、
そなたもうセルを着(き)たのか、
その薄(うす)い藍(あゐ)の縞(しま)を?
まつ白(しろ)な牡丹(ぼたん)の花(はな)、
觸(さは)るな、粉(こ)が散(ち)る、匂(にほ)ひが散(ち)るぞ。
おお、五月(ごぐわつ)、五月(ごぐわつ)、そなたの聲(こゑ)は
あまい桐(きり)の花(はな)の下(した)の竪笛(フリウト)の音色(ねいろ)、
わかい黒猫(くろねこ)の毛(け)のやはらかさ、
おれの心(こゝろ)を熔(とう)かす日本(につぽん)の三味線(さみせん)。
Fau-de-Vie de Dantzick.(オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
五月(ごぐわつ)だもの、五月(ごぐわつ)だもの――
(V.1910.))
一夜とはいえ、設備投資はした。バーカウンターとその上から光を落としてくれる明かり、それに冷蔵庫はイワトがこの夜のために用意してくれたのだし、うまい酒を使い捨てのプラスティックのグラスで飲むことはありえないから、グラスその他も用意した。一夜限りなのに、なんだかみんな常連という感じがよかった。だから、またやります。また来てね。♡
by suigyu21
| 2012-06-11 20:47
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