花園はヒミツです
震災の後は外で飲んでもあまり遅く帰ることはなかったが、連休最後の日曜日の夜、友だちと飲んで、久しぶりに深夜になった。深夜といってもまだちゃんと電車は動いている時間だ。駅から歩いて自宅に向かっていると、あ、オレンジの花の匂い。花咲く木があるところはわかっている。30メールほど先から強く匂っているのはきっと花が開いたばかりなのだと思って、足早にその木に近づいて観察する。葉に隠れた奥に目立たない白い花がたくさん咲いている。そのかぐわしさに世界の不思議をうっとりと感じつつ、しかし人がいないことだけは冷静に確認して、花のついた小さな一枝をいただいた。手入れはされず、道端に勝手にはえている風情の木なので花もたくさん咲きすぎているから、許されるでしょう。部屋の中で茶色に枯れてからも匂いはまだ残っている。
小学生のころ「秘密の花園」のマンガ版を読んだ。主人公のメアリといとこのコリンがぜんぜん可愛くないのが意外だった。メアリやコリンという名前の「西洋人」もかかわらず、なのだ。当時のマンガの世界にはめずらしいことだった。それが気になっていて、いつか原作を読みたいと思っていた。で、読みました、『秘密の花園』(土屋京子訳 光文社古典新訳文庫)。おおざっぱに言えば、マンガ版の印象とあまり違わないのはよかったと思える。
しかし細部のいろんなおもしろさは当時のマンガには描かれていなかったのかもしれないし、きちんと描かれていたとしても、当時の年齢の自分にはわからないことだったと思う。そもそも、「GARDEN」が「花園」と訳されたことがすばらしいなあ。コリンの瞳は不思議な灰色、動物や植物のことがわかるディコンの瞳は空のような青。そんな色の瞳がいつも目の前にあったら、深く影響されそうな気がする、というようなおもしろさ。ページを繰るごとにちいさな驚きがあって、原発の問題は大きくなりつつあるこの現実の世界だけれど、ただそれだけがあるのではないことを思い出させてくれたのでした。
小学生のころ「秘密の花園」のマンガ版を読んだ。主人公のメアリといとこのコリンがぜんぜん可愛くないのが意外だった。メアリやコリンという名前の「西洋人」もかかわらず、なのだ。当時のマンガの世界にはめずらしいことだった。それが気になっていて、いつか原作を読みたいと思っていた。で、読みました、『秘密の花園』(土屋京子訳 光文社古典新訳文庫)。おおざっぱに言えば、マンガ版の印象とあまり違わないのはよかったと思える。
しかし細部のいろんなおもしろさは当時のマンガには描かれていなかったのかもしれないし、きちんと描かれていたとしても、当時の年齢の自分にはわからないことだったと思う。そもそも、「GARDEN」が「花園」と訳されたことがすばらしいなあ。コリンの瞳は不思議な灰色、動物や植物のことがわかるディコンの瞳は空のような青。そんな色の瞳がいつも目の前にあったら、深く影響されそうな気がする、というようなおもしろさ。ページを繰るごとにちいさな驚きがあって、原発の問題は大きくなりつつあるこの現実の世界だけれど、ただそれだけがあるのではないことを思い出させてくれたのでした。
by suigyu21
| 2011-05-12 22:00
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