人気ブログランキング |

水牛だより

愉しみ 18(2010.11.25)

かわいいビンに入ったリモンチェッロがありますよ、と電話口で彼が言う。

そうだ、二週間ほど前にイタリアンレストランでいっしょに食事をしたときに、最後にリモンチェッロを飲んだのだった。その場にいた四人のうち、私以外は男性で、それなのに食後酒を飲むと言ったのは私だけだった。ショットグラスで出て来たリモンチェッロを三人に強要して一口ずつ回しのみをした。しようがねえなあ、と言いながら飲んでる人もいたけれど、一杯のお酒をみんなで味わえるのはいい。お茶やコーヒーではこうはいかない。

リモンチェッロはアルコール度数の高い甘いリキュールだ。冷凍庫に入れておくと、凍らずにとろりとなる。それを小さなショットグラスに注いで、食後にきゅっと飲む。食べたものの油をとかすとか、消化を助けるとか、いろんな効能があるらしいが、薬ではないし、おなかがいっぱいでもとてもおいしく飲める。食後でなくてもおいしい。

もともとはレモンの産地である南イタリアで、自宅用に作られていたものだという。イタリアからヨーロッパ各地に広まり、そして日本でも手に入るようになったのは、きっとおいしいからというのが第一の理由にちがいない。

材料はレモンの皮と砂糖とアルコールだけ。まずレモンの皮の成分を強いアルコールに浸出させる。すっかり黄色の成分をしぼりとられて白く色あせたレモンの皮を取り出し、そこに砂糖を溶かしたシロップを混ぜて少しねかせれば出来上がる。作るのは意外にかんたんなようだ。自宅用だったことはそのかんたんな作り方からも理解できる。イタリアにはグラッパという食後酒もあるが、これは自宅ではとうてい作れない。

レストランでそこの自家製のリモンチェッロを飲んだときには、フレッシュなレモンの香りにやられた。もちろん日本で。あれこれ調べてみると、本家のナポリ湾のアマルフィー海岸や、カプリ島などで採れるレモンは日本のレモンの三倍もある大きさで、果汁でなく果皮を使う種類らしい。ちなみにシチリア産のレモンは果汁用。

香りも成分も違うのだろうけれど、日本産のレモンかあるいは柚子の皮で一度は作ってみたいと思いつつためらい続けているのは、皮をむかれたあとの果実十個ほどの使い道がピシリと定まらないから。ジュースにしてしまえばいいのかな。ともあれ白いふにゃふにゃのレモンがシンクのあたりにいくつもころがっているのは困ります。

電話で話した次の週に彼と会って、そのかわいいビンのリモンチェッロをもらった。ビンにはカプリ島のレモンの絵が描いてある。イタリアの国のかたちをしていて、下はハイヒールの底そのものになっているから、ビンはちゃんと立つ。飲んだあとは花を挿すのもよろしいとの注釈もついている。

その場でぐいっと飲んでもいいよと言われたけれど、冷えてないものね、そうはいきません。冷凍庫に一日ほど格納して、とろりとなったところで、きゅっ、と。すっきりとおいしい。今度彼と会うときには、もっと大きいサイズのビンがほしいと言おう。
by suigyu21 | 2011-01-22 21:19 | Comments(1)
Commented by ロクス・ソルス at 2011-01-23 19:17 x
リモンチェロ旨いですよね。ウチの冷蔵庫にも友だちが作ってくれたものが備蓄されています。