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水牛だより

愉しみ 5(2008.9.25)

8月10日、シアターイワトでフラライブ「Island style」を見て聞いて笑う。ハワイやマオリや小笠原の歌とジーンスのフラはよく似合っていた。帰りにスコールのような雨に降られたのもまるで熱帯の島のようで気持ちよかったな。雨に濡れながら思う。歌はだれのものだろう。ことばを書いたひとがいて、曲を作ったひとがいる。はじめて歌ったひともいるだろう。だからといって、歌はそのひとたちのものだ、といってしまうと、なんだか違う。みんなのもの、というわけでもない。歌は歌そのものとしてそこにある、たぶんだれものでもない。

「トロイメライ」の公演にあわせて高橋悠治作曲のソングブックを作ろうと思ったのは、歌たちが独り立ちするのをちょっとだけ後押ししたかったから。思いつくのはかんたんだが、かんたんな思いつきを実現するのはかんたんとは言いきれない。

コピーが当たり前になってから、楽譜はむしろ取り扱いがたいへんになったのではないかしら。そもそも出版されているほとんどの楽譜や五線紙はA4やB4という定型サイズにはぴったりとおさまらない。まるでコピーするなと言っているみたいだ。しかたなく元の譜面より一回り大きなサイズにコピーされたぺらぺらの譜面はよく譜面台から落ちそうになっている。ライブで目にする光景ですね。

複数ページのものは1ページずつコピーしてセロハンテープで貼り合わせることが多いようだ。しかしセロハンテープはすぐに劣化する。接着剤が茶色に変色して紙に染み込み、テープははがれ、無惨な状態になってしまう。

そんなふうな実情だから、楽譜集を作るなら譜面台に乗せて使うことを前提にしなくてはいけないと強く思う。サイズも紙の種類も製本のしかたも、譜面台に乗せたときに快適でないとだめだ。この場合の快適とはよけいな心配をしないで楽譜に集中できるということで、そこを押さえていれば細部はきっと自然に決まってくるでしょう。

歌は「都市」(如月小春)、「世界でいちばん大きな木のうた」(長谷川四郎)、「おやすみなさい」(石垣りん)、「水牛のように」(ウェンディ・プサード)、「ぼくは十二歳」(岡真史)、「名前よ立って歩け」(中屋幸吉)、「ゆめのよる」(谷川俊太郎)など30曲ほどの予定。楽譜ソフトでかかれたものあり、手がきあり、歌うだけでなく、じっと眺めるだけでも楽しめます。PDFファイルが揃ったら(ということはまだ揃っていない・笑)、一気に進めよう。『高橋悠治ソングブック』は「トロイメライ」の初日9月19日に発売開始です。
by suigyu21 | 2011-01-20 22:35 | Comments(0)