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水牛だより

手で読む

ブックフェアに出かけたら、まず訪ねるのはボイジャーのブースと決まっている。いつものようにみんないそがしそう。挨拶だけして、会場内をうろうろ。ことしは出展している出版社の本は、といってもブースに並んでいるものだけだし文庫本が多かったけれど、2割引きになっていた。ブースはみなちいさいし、不景気なんですね。

岩波書店のブースで岩波文庫『読書のすすめ』(2009/5/21)をもらう。もう13集も出ているのね。伊藤比呂美が青空文庫に触れているところがおもしろい。こんなふうに読まれてもいることを(わたしも含めて)青空文庫の人々のために引用しておこう。

「この頃読んでいたのは鷗外です。前から好きでしたが、先日ベルリンの鷗外記念館に行ったせいでもっと読みたくなって、青空文庫を漁りました。鷗外、それから太宰も、実は、ふつうの本より青空文庫で読んだ方が、五臓六腑に染みわたるような気がしております。つまり、ネットの画面そのままでは読みにくにので、まずHTMLで表示して、全文をハイライトして、それをコピーして、自分のコンピュータのWordに移して、縦書きに直して、好きなフォントに直したり旧かなを新かなにあるいはふりがなを除去したりして、自分の読みやすいように直していくうちに、全文を、まんべんなく、すみからすみまで、目で読むというより手で読んでいく。そうしますと、鷗外や太宰の声のあとをしっかりなぞりながら、耳を澄ませていくことができるのです。」
by suigyu21 | 2009-07-12 20:03 | Comments(0)