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水牛だより

赤が似合う

駅まで5分ほど歩く道に今たくさんの赤い花が咲いている。生け垣いっぱいの小さな薔薇、皐月、ブラシの木、控えめに下を向いているアブロチンなど。赤は人類しか認知しない色だとされていることをどこかで読んでから、それなら花たちの赤い色はなにのためなのだろうと、その美しさを目にするたびに不思議でしかたがない。

フランスとタイの国旗はどちらも青白赤の三色が使われている。フランスでは青は自由、白は平等、赤は博愛をあらわしている、と遠い昔に教わった。タイの三色はにはまったくちがう意味があたえられていることを最近読んだ。(石井米雄「タイの三色旗」 岩波書店「図書」)
「かつてシャムと呼ばれていたタイは、国際連盟に加盟し、第一次世界大戦に参戦することとなったが、このとき、国王ラーマ六世はそれまで国旗だった白象旗にかえて新国旗Trairongを制定した。中心の青帯を二条の白帯がかこみ、さらにその外側に二条の赤帯を配した三色旗である。
(中略)
その意味をワチラウット・ラーマ六世は詩に賦してつぎのように説明している。
 白 汚れなく めでたき三宝 タイ人の心に宿るみほとけの教え
 赤 はらからの血 民族と宗教のために流す赤い潮
 青 輝ける色 国長のあれましし佳き日のしるし
青は「国王」、これは六世王の誕生日、土曜日の色である。白帯は「宗教」、ここでは仏教を意味する。赤帯は「民族」の血。「民族・宗教・国王 chaat sasanaa phramahakasat」というタイの政治文化は、新国旗によって可視性があたえられることになった。」
by suigyu21 | 2009-05-21 17:36 | Comments(0)