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水牛だより

現在とはいつのことですか

曇り空のもと、洗濯物をほす。気温はさほど低くはないのになんて寒いんだ。と思っていたら、途中でさあっと陽がさしてきた。とたんに肩のあたりから暖かさにつつまれていく。こんなとき、思い出す百田宗治の「何もない庭」。

  日がかげれば
  何もない庭はさびしい
  日さへ照っていれば
  万朶(ばんだ)の花の咲きにほふ心地がする
                                                  
 中学生のころ教科書でおぼえて、忘れていないから、現在進行形といえる。はじめて知った「万朶の花」ということばそのものがなぜだか刺激的だった。さらに、こういう庭が自分の家だけでなくそこここにたくさんあって、今のように高い塀で目隠しされていなかったから、いろんな時間のいろんな空模様の下の庭を見ていれば、イメージは必要以上にひろがるのだった。今の家の殺風景なベランダだって、「日さへ照っていれば/万朶の花の咲きにほふ心地がする」のです。
by suigyu21 | 2009-02-05 17:17 | Comments(1)
Commented by espera at 2009-02-05 18:28 x
なんというか、いい感じのベランダ的、詩的な世界ですね。
「朶」という漢字をみると、どうしても「耳朶」を思い出します。
先日は、オレキエッテという耳朶の形のパスタも食べた。
ああ、私はまだまだ花より団子の世俗の世界にいるのだろうか?