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水牛だより

時間が斜めに走る

イザベラ・バードは1878年に日本を訪れ、日光から奥地旅行をした。1880年にそれを『日本奥地旅行』として出版したことはよく知られている。その前にはオーストラリアからニュージーランドを経て1873年にホノルルに到着し、7か月ほど滞在した。健康のために航海をすすめられたというのも驚きだが、こんなに遠くまで旅をしたのにさらに驚く。おんぼろの船で最大級の嵐にあって、重い病気なら死んでしまいそうだ。そのときに妹に書き送った手紙をもとに『サンドイッチ諸島での六ヶ月』を出版。2005年に『イザベラ・バードのハワイ紀行』として訳が出た。彼女が書きとめたハワイ島ワイメアの女性の話。

「わたしたちはいつでも幸せよ。どんなことが起きても、いつまでもめそめそしないの。だれかが亡くなったりしたら、もちろん何日かは悲嘆にくれるけれど、その後はまた幸せになる。わたしたちは一日を通して楽しいの。白人のように、楽しいときとふさぎこむときとが交互に訪れたりはしないのよ。くよくよしないということね。人生はとても短いのよ。ハオレはいつも、何が悲しいというの?」

わたしの知っているハワイはイザベラのちょうど100年後、1973年だが、そのころはまだ100年前のハワイはらくらく想像の範囲内だった、と『ハワイ紀行』を読みながら思う。
by suigyu21 | 2009-01-20 22:08 | Comments(0)