水牛だより

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川にある駅

駅の改札口をとおってから、プラットフォームで電車を待つ短い時間が好き。とはいえ、そのプラットフォームは新宿や渋谷のような大きな駅あるいは地下の駅ではなく、もっとローカルな地上にある駅でないと、好き、とはいえない。

二子玉川駅のプラットフォームはもっとも好きかもしれない。ここのプラットフォームの下り側つまり西側の端は多摩川の上にある。そこに立つと、どっしりと流れる川の上にいて、さらにその上には空がひろがっている。東京の常として両岸に高い建物はあるけれど、都心ではないから、高さはそれほどでもなく、川の広さのほうが勝っている。

プラットフォームは川の上にあるから川上も川下も見渡せる。ここは世田谷区だが川を渡れば川崎市だ。南にあたる川下はあまり特徴がない。武蔵小杉の高層ビル郡が見える。そこにいれば、新幹線も走りぬけていくので驚いたりもするけれど、ここから見ているとなんだかちまちまとしていて貧乏くさい。天気の悪い日はぼんやりとかすんで見える。

北側の川上の風景はいつもいい。多摩川が蛇行しているし、中洲もあるし、川から離れた池のようなものもある。釣り人がいたり、白鷺がいたりする。散歩している人も多い。真下に246の橋があるのだが、プラットフォームからは見えない。少し向うに自動車専用の道路があり、昼も夜も絶え間なく自動車が走っている。最近は渋滞もなく、自動車たちはいつも快適そうに走っている。そして、空気が澄んでいるときには、その向うに見えるのはおそらく秩父の山なみだ。

プラットフォームに立つときの時刻と天候はさまざまだ。昼間もあれば夜もある。快晴、曇、雨、雪。どんなときも川上の風景はいい。晴れている昼間なら夏も冬も川の水は太陽の光を反射してきらきらと輝いている。夜の川はいろんな色と形の電光をそのまま反射しつつ、波のゆらゆらが加わって美しい。川の水の他の木々や草や石などは光を吸い取ってほぼ黒くひろがっている。黒いひろがりがあるからとりわけ光の美しさがある。

いつも見とれて、酷暑や極寒の日でなければ、乗る電車をひとつやりすごしてしまう。


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by suigyu21 | 2017-08-02 21:17 | Comments(0)