水牛だより

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本の立場

近くの公共図書館に、一度も借りられたことのない本、というコーナーが出来ていた。現物が何冊か並んでいる。
誰も借りたことのない本は、ピカピカしたまま世に出てからの時間をまとっている。大別すると、ひとつは専門のなかの専門の領域というのか、誰も知らないような技術についての具体的な解説のようなもの。もうひとつはなにかの記念の作文集のようなもの。技術書ならきっと必要な人はいるだろうが、この図書館を利用している人のなかにはいなかったということだろう。作文集はその中に書いている人とその周辺の人たちはきっと読んだだろう。でもここの図書館を利用している人ではなかったのだ。読んだ人にとってはきっと大事な本なのだと思う。彼らの本棚にはいまもちゃんとあるかもしれない。

図書館には「ベストリーダー」というコーナーが常にあり、多くの人が予約の番を待って読んだらしく、解体寸前のようにぼろぼろな本、それも同じものが複数そろえられたりして、ずらりと並んでいる。並べられているだけで、今はほとんど読む人もなく、残骸といった感じがただよっている。

読みたいと思って買ったものの、積んであるだけの本が自宅にも何冊かある。これは一度も借りられたことのない本の立場とおんなじかもしれない。ここにある一冊の本はまだ読まれていない、のだから。
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by suigyu21 | 2015-02-16 20:38 | Comments(0)