水牛だより

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冬の東京で

これまでのところ、東京のことしの冬は寒い。2005年の冬に斎藤晴彦さんと高橋悠治さんとの「日本語で歌う冬の旅」の北への旅があった。冬のさなかに松本、金沢、留萌、釧路、網走、鷹栖、札幌、花巻、森岡などへ行くことになったので、その旅のためにコートを買った。北海道に着いたそのときから吹雪にみまわれ、コートは役に立ってくれた。東京の冬は暖かいのでそのコートは着る機会があまりない。特に電車の暖房では苦しいほどに暑くなってしまう。が、ことしは着ている。10年も前のものだから、時代遅れなデザインかとも思うけれど、温かい快適さはありがたい。

忘年会の季節。参加するのは少し、個人的なものだけにしている。最初は台東区民となった友人が率先して幹事を引き受けてくれ、浅草でどぜう。どぜうもいいが上にこんもりとのせるネギがおいしくて、何度もおかわりしてしまう。また燗酒によく合うのだ。「柳川ってのは子供のためのものだ、めしは食わない、どぜうだけ」と、この界隈で生まれた別の一人がうるさいほどに教えてくれる。柳川は食べたけれど、ごはんは食べずにガマン。ちょうどよく満たされたのは、彼の教えが正解だったからだろう。

食べたあとで駅の近くのバーでウイスキーを一杯というのもこの集まりのお約束だ。バーテンダーのおじさまが言うには、ウイスキーは食後にいいんです、消化を助けますからね。空腹だと強すぎます。ということでおすすめのシングルモルトウイスキーをストレートで。四人で違うものを頼んで、回し飲み(?)をする。味はそれぞれだけど、それぞれにおいしい。みんな機嫌がよくなって、新年会もやろうよということになる。また飲むのだな。

ウィスキーというのはふしぎだ。たいていは理性を失わせるだけだが、まれに、思考不能なことがらを正しく思考する契機ともなる。
(トーベ・ヤンソン「石の原野」)

人といっしょに話しながら飲むときは、この中間くらいな感じをただよっている。まるで理性を感じられないことを言ったりするし、そうかと思えば、昼間の会議などでは絶対に出てこないようなおもしろいアイディアが続々と湧いてくることもある。

トーベ・ヤンソンの「石の原野」はよかった。小説のなかではウィスキーは重要な脇役で、主人公は娘に内緒で飲んで、理性を失ったり、正しく思考したりする。
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by suigyu21 | 2014-12-20 13:22 | Comments(0)