水牛だより

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すきまからとびだす

コンクリートで地面がびっしり覆われている東京の町だけど、土はある。住宅を解体したり、建て始めたりする都合で地面を掘り返したばかりのところは土だけが見える。けれどもほんの少し時間がたつと必ず草が生えてくる。解体から着工まで一夏あれば、いろんな草で覆われてしまい、土は見えなくなる。ひろびろとしたところほど、草の生命力そのままに生い茂って、人間の背丈くらいならすぐに越えてしまう勢いだ。

土の上をびっしりと覆っているコンクリートだが、じつはすきまだらけ。すきまの下は土だから、偶然そのあたりにいた植物の種子が芽を出すのは自然のいとなみで、それまで待っていた時間が長かったせいなのか、妙に力強い風情だ。夏の終わりのすきまはとびだしだらけ。


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by suigyu21 | 2014-09-29 21:14 | Comments(0)

13年目の9月11日に

池澤夏樹の電子本「impala e-books」シリーズに編集スタッフとして参加している。

スタートしたのはことしの夏が始まるころだった。そしてきょうはあれから13年目の9月11日。この日に発売を予定して、作業をしてきた『新世紀へようこそ+』と『続・新世紀へようこそ+』がきちんと発売されて、うれしい。単行本に収録されていない「パンドラの時代」や、今年9月3日に書き下ろされたエッセイを加えて、今日という日からまた新たに新世紀の始まりを考える2冊となった。

電子本の編集というのは日進月歩の世界だから、何度経験しても、いつも知らない新しいことに直面せざるをえない。このシリーズはボイジャーが開発したRomancerという「EPUBを作成し、Webブラウザーベースの閲覧システムを使って公開するWebサービス」を使って編集作業をおこなっている。これまでマジメに使ったことのない、というよりは、使うのを避けてきたワードとも親しまなければならなことが必須となり、ついでにPCも新しいのに替えたので、始まりの夏のあいだは暑い夜中に足がつったりした。老体に鞭打つ、とはこういうことをいうのではなかろうか。

底本となった『新世紀へようこそ』と『世界のために涙せよ』はメールマガジンとして発信されたもので、本自体も横書きで、メールによるコメントや引用などもある。それをもう一度デジタルに呼び戻すときに、縦書き表示とするのだ。いろんな要素がふりかかる。フォントやそのサイズが限定されているなかで、この本の仕組がすんなりわかり、読みやすくできただろうか。ともあれ、無事に発売となって、スタッフとしてはこのシリーズの最初の山は超えた感じがしている。ごくふつうの体裁のエッセイや小説の編集は少し楽に出来るようになり、少しずつ書影が増えていくのが楽しみだ。

一人の作家の作品で、新刊書として品切れだったり絶版になっているものを包括的にデジタル化してよみがえらせる意味はある。池澤夏樹さんの次には、あの人、それからあの人も、と(可か不可は別として)考えだけは伸びてゆく。
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by suigyu21 | 2014-09-11 15:10 | Comments(0)