水牛だより

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青空文庫の片岡義男

12月1日に『少女時代』を青空文庫で公開した。片岡義男さんの小説集として7作目にあたる。書籍の企画としては挫折したハワイ4部作を順次公開することからはじめ、その次に、できるだけ新しいものを、という片岡さんの希望もあって、『七月の水玉』と『物のかたちのバラッド』を。そして私自身の選択として『少女時代』を。これで7作だ。

赤い背表紙の角川文庫の最後の一冊にあたる『狙撃者がいる』の背表紙のいちばん上には「か 7-85」というID(?)が印刷されている。「か」で始まる名前の作家の7番目の著者の85冊目ということだ。そして文庫のカバーの折り返しにはその85冊のタイトルがずらりと並んでいる。片岡さんの著書は角川文庫だけではないから、青空文庫でできるだけたくさん公開しようという決意があっても、相当の時間がかかることははっきりしている。

なんでも公開していいと片岡さんはいつも言うのだが、書いた人として積極的に公開したい作品はあるのではないかと思い、聞いてみた。『東京青年』と『道順は彼女に訊く』ですね、というこたえがすぐに返ってきた。私にとっても『道順は彼女に訊く』は好きな作品であり、公開の予定にはちゃんと入っている。しからば次の公開はこれかな。以前、こわ〜い小説ですね、と片岡さんに言ったら、あれは新聞に載った事件からヒントを得た友情の物語です、新聞連載小説だったので、たいへんだったなあ、と。『東京青年』は6つの連作短編集であり、どれも主人公はヨシオという。他の登場人物にはちゃんと漢字の姓名があるのに、彼だけはただの「ヨシオ」なのだ。ははは、とそこだけは笑ってしまう。

どちらも1990年代後半に単行本で出版されて、10年ほど前に白い背表紙の角川文庫となったが、すでに絶版のようだ。青空文庫に最適な状況だと思う。
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by suigyu21 | 2012-12-12 20:27 | Comments(0)