水牛だより

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新月バーでお酒を楽しむ夜

11月8日(木)はスタジオイワトでの平野甲賀「ビラとポスター展1964-2012」の最終日。午後7時に展示が終了すると、会場はそのままバーに早変わりする。夏の始めの「満月バー」が好評だったので、立冬の翌日のこの夜は「新月バー」である。平野さんを祝う意味もある。残念ながら月そのものは上弦で、新月へとむかう途上にある。

新月バーには魅力が三つある。

その1。お酒がおいしい。ちょっとめずらしい強いお酒をいくつか用意する。これをそのままストレートでなめるように飲むのが一番おいしい。おすすめです。日本酒のおいしい季節でもあるので、今回は発泡日本酒もある予定。ほんのりと濁っていてシュワっと生きてる味がしておいしい。さらにワインやビールもあります。バーにはカクテルがつきものだが、それはプロがつくってこそ。中途半端なカクテルは悲しい。というわけでカクテルはありません。お酒にあうおつまみは奥田丹さんが作ってくれます。

その2。働いている人がおいしい。チイママは内澤旬子さんと岸本佐知子さんですよ。内澤さんは前回と同じように網タイツで出勤してくれるかな。夏に岸本さんと会ったとき、このバーのことを話したら、飲みに来てくれるということから、そのうちなぜだか「出勤」してもいいという話になった。チャンスを逃さず、路上で立ち止まって手帳に日時を書き入れてもらって、チイママは成立した。さらに先日の「トロイメライ」でカイを演じた足立昌弥くんをバーテンダーとしてスカウトした。自慢の美男美女がお相手いたします。

その3。ライヴがおいしい。ラウンジでは斎藤晴彦さんと滝本直子さんの歌、住友郁治のピアノによるライヴがあります。お酒を片手に三文オペラの歌をどうぞ。

ママの私はチェイサーを作ったり、グラスを洗ったり、氷を買いに走ったり。それが楽しいのさ。なんだか万全の態勢でしょ?
イワトの地図はこちらです。ぜひいらしてね。♡
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by suigyu21 | 2012-10-28 23:18 | Comments(0)

トロイメライ、死を夢みる

如月小春さんの「トロイメライ」はごくおおざっぱにいうと、12歳の子供が自分の意志で死んでしまう、というおはなしだ。夢のように。2012年の後半といういまの現実としてはめずらしくないことではあるが、子供であるところがどこまでも痛ましい。

尾崎哲也さんによる、前回(2008年)の「トロイメライ」の評。(REAL TOKYO)
いちばん下にある終演後の写真を見ると、ポール・ズーコフスキの顔が見える。そうか、彼も見てくれたのだったと思い出す。
http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_196/

高橋悠治さんの、これも前回の「トロイメライのあとさき」(水牛)
http://www.suigyu.com/sg0811.html#09

そして今週末、13、14日に再演です。「高橋悠治50人のためのコンサート」その4回めあすからガッツリ稽古です。

子供が自分の意志で死ぬというテーマは片岡義男さんの『少女時代』(1990年)にまでのびていく。こちらは四人の少女の死をめぐるストーリー。「トロイメライ」ではカイにサキという友だちがいたように、「少女時代」は四人の少女たちの友情の物語でもある。カイとサキ、リカとハチミとナナエとトモ。彼らは、いじめられてひとりぽっちで死んでいく子供のようには孤独ではない。だからいっそう死ということの抽象性が際立つ。架空の世界の彼らの死はそのまま、現実の世界の夢の灯りとなっているみたいだ。

『少女時代』は入力して、校正待ちの状態。近く青空文庫で公開する。
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by suigyu21 | 2012-10-07 20:51 | Comments(0)

トロイメライのちらし

10月13日、14日上演のトロイメライのちらしをお見せします。
イワトでは100枚しか印刷しないらしいので、データを送ってもらいました。
デザインは平野甲賀さん。
「トロノイメラノイ」と読んでしまって、ハッとする。。。
見に来てください!

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by suigyu21 | 2012-10-05 23:15 | Comments(0)

夢(トロイメライ)、ふたたび

スタジオイワトでの「高橋悠治50人のためのコンサート」その4回めのプログラムは「藤井貞和の短歌による新作『雪降りて/悲しみに』」と「如月小春によるポータブルシアター『トロイメライ』」

10月13日(土)は午後2時と午後6時、14日(日)は午後2時の計3回公演です。出演は高橋悠治、楫屋一之、足立昌弥、辻田暁の4人だけ、よりコンパクトになった。そして植松眞人の映像が加わる。

カイとサキという12歳の少年と少女の夢の情景は、シューマンの「トロイメライ」の演奏で始まる。それからふたりが登場して、その夢は1時間ほど続き、また始まりに戻ってくる。そしてシューマンの「トロイメライ」も最後にまた戻ってくる。カイとサキのふたりの夢が消えたあとの「トロイメライ」は始まりの「トロイメライ」とはまったく違って聞こえる。この世界で生きている哀しみが深く感じられて、その瞬間はほんとうに美しく悲しい。本番だけではなく、稽古のときも、その場面が繰り返されるたびに同じように感じるので、その度に不思議な気持ちになる。

12歳の少年カイと少女サキは、物語というよりは断片的に続いていく情景にそのまま固定されて、年をとらずにいつもそこにいる。何度死んでも、そこにいる。郊外のマンションの屋上、遠い宮殿の女王、おかあさんのカレーライス、杉並区の自動販売機、ヒョロリ、などは、ふたりの子供とともに、白い男の持つ白い地球の夢=トロイメライでもあるのだろうか。

高橋悠治のコメント。
夢(トロイメライ)は消えて痛ましい空白に取り残された子どもたち。
音楽は2008年には即興だったが2012年は細部まで作曲されている。
如月小春の1980年代前半の作品『トロイメライ――子供の情景』(1984)から編集した対話に加え『家、世の果ての……』(1980)『ANOTHER』(1980)『MORAL』(1984)からの詩と作曲の引用がある。ピアノはシューマンの『トロイメライ』以外に『月光の曲』のパロディを含む。

楫屋一之によるコメント。
1980年前後、若い劇作家たちが、核戦争後の世界を寓話的に描くことがあった。なにもかもが消滅した後の世界。如月小春の物語では、いつも“白い男”が白い球体を抱え、歩み、立ち止まり、うずくまり、なにもない世界に在り続けることの想いをただしていた。『トロイメライ』でも“白い男”は、やや緩慢な呼吸を繰り返しながら、辛く哀しい眼差しを無辺の彼方に投げかけている。

入場料は3500円(学生3000円)、イワトのアクセスはこちらで。
お申込みと問い合わせは、haru@jazz.email.ne.jp あるいは電話 08054523165 で。

制作は平野公子(イワト)と八巻美恵(水牛)。2008年に続いて2度めの制作となる。ポータブルシアターと名づけたちいさな編成だが、いまの世の中で自力で上演するのは、我らが非力すぎるということはあるかもしれないが、そんなにかんたんではありません。
この機会にぜひ見てください。
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by suigyu21 | 2012-10-01 17:59 | Comments(0)