水牛だより

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高齢者です

もう十年くらいは前になるだろうか。十歳近く年上の友だちが言った。髪を染めていると、白髪があることはわかっているけれど、いったいそれがどの程度なのか、自分のことなのに、まったくわからないのよ。少し出てきた白髪をヘアマニキュアで赤くして楽しんでいた当時の私には、へえ、そんなものかしら、であった。しかし今はどうか。自分の白髪がいったいどのくらいあるのか、よくわからない。もういい年齢なのだから、若いころからのあこがれだったチャーミングな白髪の人になりたいと思いつつ、途中の汚らしさに耐えられず、何度も挫折して、つい染めてしまう。冬のあいだにずっと帽子をかぶって、決行してみようか。

もっとずっと若いころ、叔母が結婚した人の母親が亡くなった。お通夜に手伝いにいって、お別れに来た人にお茶を出したりした。亡くなったおばあさんの友だちが来た。おばあさんと同じくらいの年齢で、和服のその人がお茶を飲みながら言った。みんな死んじゃって、とうとうわたしひとりになっちゃったわ。泣くわけでもなく冷静に。誰かが最後のひとりになって、ひとりになったそのことを自覚するなんて、そんなことがあるんだ、と私は驚いた。今ならある程度はわかる。人の死に慣れることはできそうもないけれど、できるだけ冷静に受けとめることは死んだ人にも自分にもよいと思う。みんな死んじゃって、ひとりになっても、なんとか静かに生きていけそうな気もする。
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by suigyu21 | 2011-11-13 23:54 | Comments(0)