水牛だより

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急ぐことはない

興味があるのはなんといってもお酒と怠けることだ。ふたつとも人類の歴史にずっと伴走していて、お酒を飲む話は禁酒の話よりおもしろいし、勤勉より怠惰のほうが魅力的だと思うのだ。

「どの程度まで人間が本来怠惰なのかは考えもつかないことである。人間が生きているのは、ただ眠り、無為に生き、じっとしたままでいるためであるかのようだ。(中略)なにもしないということは、自己保存の情念についで、人間の最初の、しかももっとも強い情念である。よく眺めてみれば、われわれの間にあってさえも、おのおのが働くのは休息にたどりつくためであり、さらにわれわれを勤勉にしているのは、怠惰なのであるということが分るであろう」(ルソー『言語起源説』小林善彦訳)

松山巖『ちょっと怠けるヒント』からの孫引きです。まず怠惰ありき、というところが心の底から納得できて、やすらかな気持ちになる。はじめてルソーを身近に感じた。
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by suigyu21 | 2010-06-25 23:03 | Comments(0)

この世の不思議

週末に、病気からの回復期にある友だちから電話があった。病後はじめて彼女の声をきく。元気な声だ。元気を装っているわけでなく。病気のこととリハビリのことと病気以外のことと、一時間くらいしゃべって満足する。会えずに死んじゃうのかなとちらりと思う瞬間もあったのだ。受話器を置いて外を見たら、気持ちのいい初夏の陽射しがふりそそいでいる。梅雨の前のちいさな夏だ。夕方はシューマンの三つのロマンスOp.94などをバイオリン+ピアノで聞いた。この日にピタリの曲だった。重なった偶然のせいで、自分が甘く世界に溶けてしまいそうな。

具合のわるい人にはメールでなく手紙を送る。PCをあけるのは面倒だと自分なら思うだろうし、手紙が届くまでの時間に病気が少しでもよくなっていると感じるのが好き。でもね、絵葉書は箱にいっぱいあるのに、そのときそのひとにふさわしい一枚というのが見つからないことが多い。どうしてかな。服はいっぱいあるのに、その日に着るものがない、というのとおんなじなのかしら。

東京もついに梅雨入りして、外は雨。でも空は明るい。
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by suigyu21 | 2010-06-14 17:04 | Comments(1)