水牛だより

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時々自動の戦争

時々自動「うたのエリア2 さあ戦争だ、と時々自動はいった。」はおもしろかった。手紙を読む朝比奈尚行、へなへなオブジェの今井次郎、スリーコーチャンズをあやつる鈴木光介。それからうたにバレーにスライドに食事(今回はワンさんの餃子!)にコント。いつものスタイルにクセナキス風の音を加えて戦争というテーマを解きほぐしていき、戦争しようという反戦の姿勢がしだいにはっきりと見えてくる。ステージを山となって埋めている白い小さなぺらぺらの人形のひとりがギターを抱えて歌ったり、ふたりが抱き合ったりするところがよかった。生身の人間でないひとびとが登場すると、ふっと解放される。

シアターイワトで31日までですよ。
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by suigyu21 | 2010-03-25 21:48 | Comments(2)

まぼろしの明日にむかう

3月20日は片岡義男さんの70歳の誕生日だった。片岡さんの小説の編集をするようになって、かれこれ10年。毎年お誕生日にはちょっとふざけたカードくらいは送ってきたが、70歳というのは特別な節目ではなかろうか、と気にかかっていた。片岡さん自身はそんなことを気にかけたりしないことはじゅうぶんすぎるほど知っているけれど、だからといってその時を無為にやり過ごすなんて、あまりにもつまらないじゃありませんか。

というわけで、お祝いに片岡さんの『ラハイナまで来た理由』を青空文庫で公開しました。お祝いに、というのはあくまで個人的な意味あいで、青空文庫としては、著作権のある作品を著者みずからの意思で公開する、という大きな意味あいを持っている。二つの意味あいが私のなかで矛盾なくひとつの方向を示してくれた。どちらかひとつだけでは、なかなかその気になれなかったと思う。片岡さんがみずから自分の小説を公開してほしいと言ってくださったことで、青空文庫の人たちが協力かつ先導してくれたことは大きい。それからクリエイティブ・コモンズの存在も。そもそも青空文庫は個人の意思の集まりで、その意思の集合をひとことで言うなら、テキストをだれでも読める状態にしておくことだから、こういうときには案外すんなりと事はすすんでいく。ボランティアには自生植物という意味もあるとおり、じわじわ繁殖しているのです。

『ラハイナまで来た理由』は「ハワイ四部作」の最後の小説で、私の好きな作品なのだった。四部作は書かれた順番をこれから遡ってすべて公開していく。そのことがどんなふうに発展していくのか、未踏の地に向けて。

片岡さん好みの「美人」たちを集めてお祝いのパーティをプレゼントしようと考えたこともあった。その光景を想像すると笑えるほどに、具体的な構想だったんだけどな。次の機会までお預けです。
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by suigyu21 | 2010-03-24 11:10 | Comments(1)

曲線のような時間

イワトでの製本ワークショップが日曜日にせまってきたので、準備をしている。素材をそろえるというのが事前の最大の仕事。使う道具や紙をそろえるだけなら、わりとかんたんなのだが、問題は中身なのですな。このごろちょっと流行している製本のワークショップでは、ノートを作るというのが多いような印象を受ける。つまり中身は白紙です。ノートの使い道はもちろんあるけれど、製本ならば、ともかく中身あってのことだろうという自分なりの最初の一歩を忘れるわけにはいかない。材料として白紙を差し出すことだけはしたくないわけです。

となると、そこにはほんとうに中身の問題が出てくる。テキストは青空文庫からいただいてくる。(ありがとう、青空文庫!)InDesignでレイアウトして、pdfファイルに書き出し、小冊子印刷をする。というような中身を作る編集のこともワークショップの内容に含むことが出来ればと思っていたら、来年度から「出版者になろう!」という講座がスタートするらしい。本の企画から販売まで学べるようだ。連携したいなあ。
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by suigyu21 | 2010-03-10 21:40 | Comments(1)

ゆめもよう

『コロンブスの犬』(管啓次郎 1989 弘文堂)を読んでいる。管さん30歳のときの本。ブラジルに留学した体験を、ブラジルと中国とハワイのアメリカをサラダにして書いたものだと思うんだ。でもそれだけではない。読み終えるまで寝る前に少しずつ読んでいる。眠くなったら本をぱたんと閉じて寝る。閉じる寸前まで読んでいるのではあるが、寸前に読んだところは翌日覚えていないことが多い。ゆうべ読んだところのdog earをきょうになって開いてみると、「夢は結晶して夏となる」とある。ゆうべ読んだかもしれないけれど、きょう新たに発見する。覚えていない、あるいは忘れてしまう、というのも大事なことかもしれないな。
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by suigyu21 | 2010-03-03 21:36 | Comments(0)