水牛だより

<   2009年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

無関係なものの関係

たまに料理の本を買う。おいしそうなものを作ってみるけれど、定着するのはほんのひとつかふたつくらい。その本のなかの、ひとつかふたつ、作ってみたいと思うから買うわけで、そのひとつかふたつのところだけ破いて保存して、残りは捨てたりもしてしまう。そういえば、音楽のダウンロードというのは一曲ずつだなと思いつく。

ことしの大晦日にまたイワトで「冬の旅」の公演をする。ことし(から)はその年のためのスペシャルを用意。斎藤晴彦朗読の山田風太郎「一握の牌」に、高橋悠治ピアノのシューベルト「楽興の時」がからむ、という趣向は、思いつきから出発したものだけれど、やってみるとまるで以前から作品としてあったようにピッタリきておかしい。

「一握の牌」は石川啄木の「一握の砂」のパロディだということはすぐにわかる。だって最初の一首はこうはじまるんだもの。

麻雀の卓にむかひて
いふことなし
麻雀の卓はありがたきかな

「一握の牌」に「一握の砂」の本歌を並べてみたらどうだろう。大晦日にはそんなものも用意しようか。そう思いついて、iPodに入っている青空文庫版「一握の砂」で本歌を探してみたら、とっても快適。31文字で完結する短さが小さい画面には合っているということなのかな。ああおもしろい。大晦日に東京にいるのなら、年越しは「冬の旅」です!!

「冬の旅」
日本語でうたう冬の旅
歌:斎藤晴彦
ピアノ:高橋悠治
休憩
朗読:斎藤晴彦(山田風太郎「一握の牌」)
ピアノ:高橋悠治(シューベルト「楽興の時」I〜IV)
終演後 大晦日の酒盛り

12月31日
7時30分開演4000円(飲食代は当日投げ銭方式で集めます)100人予約制
予約はこちらにお願いいたします。
メールharu@jazz.email.ne.jp
   info@suigyu.com
電話08054523165(平野公子)
[PR]
by suigyu21 | 2009-10-25 22:06 | Comments(0)

偶然とは

わが友サルドノ・クスモが山形映画祭に呼ばれて来た。ほぼ10年ぶりに東京で会い、お互いのクレージーな近況を話す。もともとはダンサーの彼、映画も撮り続けているし、最近は油絵を描くようになったらしい。200年前のインドネシアの画家が乗り移ったという。

もう一人のわが友野口くんも山形映画祭に出かけていた。彼は青空文庫とコンピュータと自転車のひと。

ふたりは出会わなかったみたいだけど、ぜんぜんかまわない。ふたりが同じ場にいた、ということが、ふたりを知るわたしには興味深い。
[PR]
by suigyu21 | 2009-10-13 22:04 | Comments(0)

夢のあとで

「トロイメライ」金沢公演を無事に終えた。車窓から満月を見つつ東京に戻ってくると、金沢はとても遠く感じられて、楽しかった4日間がもうなつかしい。初演から一年後の再演は、どこがどうとはっきり言えないけれど、たしかに初演とはちがう。ぜんたいで50分足らずの短さはことしは必要にして充分に感じられた。50分のなかに永遠があるのです。

金沢には不思議と縁がある。
1997年から開催されているeAT金沢には、ボイジャー社のスタッフのひとりとして何度か参加した。いつも冬だったのに、雪に降られたことが一度もない。「冬の旅」でも行った。このときも当然冬で、やっぱり雪はなかった。

そして「トロイメライ」。会場の21世紀美術館には人があふれていて楽しい。無料で観ることのできるゾーンがあって、お気に入りのタレルの部屋はそのなかのひとつ。天井が正方形に開いている。壁際の石のベンチに腰かけて、そのときの空を見上げる。雲は勝手にながれていくし、ときどき鳥も通り過ぎる。雨の日は雨の落ちる音を聞く。ぼんやり見ているだけなのに、空の色は変化しつづけて飽きない。陽が暮れかかると壁に電灯がともる。
週末には美術館の入口の前にしょうゆアイスの屋台が出る。「21」と焼き印の押された最中のなかにおしょうゆの香りのするベージュ色のアイスクリームが入っている。美術館のアイディア商品(?)らしい。美術館なのに縁日みたいでかっこいい。みんなでしょうゆアイスをほおばって笑い、そして解散したのでした。
[PR]
by suigyu21 | 2009-10-06 20:52 | Comments(1)