水牛だより

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ピーナツ・バターで始める朝

片岡義男さんの新しいエッセイ集のタイトルです。そろそろ本屋さんに並んでいるころ。編集担当としてまたとことんおつきあいした。といっても、とことん、とは、愉快に、というのと同義なので、本が完成に近づいて私の手を離れるときは、ほっとするとともにほんの少しのさみしさも感じるのだった。短いエッセイが43編。どれもこれもどこからどこまで僕だらけだ、とは著者の弁で、「僕だらけ」というタイトルが一瞬浮上したこともあったが、いくらなんでも。。。

本が出来上がるまでは、必要がある限り何度となく片岡さんと会う。そして話しているうちに、次にやるべきことが決まることもある。今度もどうやら次の仕事につながるみたいだ。関係が沈滞しないで、空中にただよい続ける風船のように、何かの力で動いているのを実感できるのは、いい。
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by suigyu21 | 2009-07-20 22:01 | Comments(0)

手で読む

ブックフェアに出かけたら、まず訪ねるのはボイジャーのブースと決まっている。いつものようにみんないそがしそう。挨拶だけして、会場内をうろうろ。ことしは出展している出版社の本は、といってもブースに並んでいるものだけだし文庫本が多かったけれど、2割引きになっていた。ブースはみなちいさいし、不景気なんですね。

岩波書店のブースで岩波文庫『読書のすすめ』(2009/5/21)をもらう。もう13集も出ているのね。伊藤比呂美が青空文庫に触れているところがおもしろい。こんなふうに読まれてもいることを(わたしも含めて)青空文庫の人々のために引用しておこう。

「この頃読んでいたのは鷗外です。前から好きでしたが、先日ベルリンの鷗外記念館に行ったせいでもっと読みたくなって、青空文庫を漁りました。鷗外、それから太宰も、実は、ふつうの本より青空文庫で読んだ方が、五臓六腑に染みわたるような気がしております。つまり、ネットの画面そのままでは読みにくにので、まずHTMLで表示して、全文をハイライトして、それをコピーして、自分のコンピュータのWordに移して、縦書きに直して、好きなフォントに直したり旧かなを新かなにあるいはふりがなを除去したりして、自分の読みやすいように直していくうちに、全文を、まんべんなく、すみからすみまで、目で読むというより手で読んでいく。そうしますと、鷗外や太宰の声のあとをしっかりなぞりながら、耳を澄ませていくことができるのです。」
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by suigyu21 | 2009-07-12 20:03 | Comments(0)

この世の不思議とは

ゆうべは満月で七夕でした。帰り道に月の出ているはずの方角を見ると、雲のむこうにまあるくぼんやりとそこにいることだけはわかった。家にたどりついて、メールをチェックしたり入浴したあと、ベランダに出てみたら、雲はどこかに去って、まんまるな月が正面に白くかがやいている。月を構成している元素は人間の体にすべてある、ということをどこかで読んだような気がする。月を見ると懐かしさが満ちてくるのはそのせいなのだろうか。

いま生きている人間の数はこれまで死んだ人間の数より多いという統計上(?)の説があるらしい。ほんとにそんなことってあるのだろうか。たしかに世界人口は30年前の倍になっているけれど、自分が生まれたときにすでに累々と死んだ人がいて、生まれてからもどんどん人は死んでゆく。このごろでは知り合いでも生きているより死んだ人のほうが多いくらいなのに。
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by suigyu21 | 2009-07-08 20:06 | Comments(3)