水牛だより

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なにを買ったの? 文房具。

片岡義男さんの新しい本は『なにを買ったの? 文房具』というタイトルがラブリーだ。文房具について書くために、買って集めて写真に撮って装幀もしてしまった、というたたずまい。何度か買い物におつきあいしたが、文房具のお店に入ると、つい自分の興味のままにうろうろしてしまって、片岡さんが何を買ったのか、知らないまま。これでは「おつきあいした」とはいえないかもしれない。でも文房ではないものを見ているときはだいたい同じものを見ていたので、5ページのマグカップや21ページのガラスのフラスコのような容器はちゃんと覚えているけれど、鉛筆を活けるためのものとは知りませんでした。

鉛筆を何本か削ってみたので、ちょっとメモするときはそれを使っている。鉛筆の字は固定されていない感じがあってよい。中学生のとき、小学生用の大きなマスの国語のノートに毎日漢字を一文字二行分(24回だったか30回だったか)書くことが宿題のひとつだった。一週間に一度提出する。漢字を覚えるためでなく、きれいに書くことがこの宿題の課題だったので、鉛筆の芯や削り具合を吟味したり楽しいこともあったなあ。こんなふうにキーを打って字を書くことになるとは想像もできず、きれいな字を書きたいと単純に思っていたのでした。
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by suigyu21 | 2009-03-24 16:55 | Comments(0)

三月の卵

カフェでゆで卵をひとつ、殻をつるりとむいて、まるのまま塩を少しだけつけてかぶりつく。めずらしい経験だけど、そのカフェが養鶏場とリンクしていると言えば、不思議はないし、卵もおいしそうな気がするでしょ? 柔らかくもなく固くもないちょうどいいゆで加減の卵と深煎りのコーヒーはとてもよくあうのです、見た目も味も。帰りには黄身がふたつ入っている卵だけ、ひと箱いただいた。産卵しはじめた若い鶏が産むものだそうだ。排卵が調子にのらずについふたつになるらしい。昔はふつうの卵のなかにまじっていたから、当たると得したような気がしたけれど、今はきっと規格外なのでしょう。

まっしろい卵というのも卵の世界ではめずらしいのかもしれない。ロアルド・ダールは少年のころにいろんな鳥の卵を172個も集めていた。ナイチンゲールの卵は深緑色、海烏の卵は黒い斑点のあるスカイブルー。「引出しを開けると、たくさんの異なった美しい卵が仕切りのピンクの真綿におさまっていて、すばらしい眺めだった。それにまた、それぞれの卵をどうやってどこで見つけたかを、いつも思い出すことができた。」と、『一年中ワクワクしてた』の「三月」の章に書いてある。
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by suigyu21 | 2009-03-13 22:23 | Comments(2)

早春の午後

東海道新幹線が開業したとき、両親が静岡にいたので、学校が休みになるとピカピカのこだまに乗って帰省していた。そのころから線路は同じところにあるはずだから、沿線の景色は意外に見慣れているのだった。トンネルに入る寸前に見える、そのトンネルの掘られた山肌にはたくさんのみかんの木があって、いまも変わっていない。みかん色の実がなってる時期はかなり長いということも知っている。

静岡の家の近くには小さな川があった。その川にかかっている橋の隣の橋は新幹線の走る線路で、ヒュ〜ンと通り過ぎる新幹線が間近に見えた。新幹線からもわたしがかつて立っていたその橋はいまも見える。だから通るときはいつも見る。住んでいたころはたんぼに囲まれていたのに、だんだん工場と住宅だらけになった。人口爆発をこんなところで感じたりしているうちに、のぞみは目的地の京都に着いた。春の雪が降っていた。
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by suigyu21 | 2009-03-08 21:27 | Comments(0)