水牛だより

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センセイとわたし

片岡義男さん(著者のセンセイ)とわたし(編集者)とでこれまで三冊の小説を作ってきた。高齢者世帯などの定義にならうと、センセイとわたしはまぎれもなく高齢者コンビだ。しかし二人とも自分の年を忘れているのか、どこか年齢不詳な感じがあると言われる。『白い指先の小説』ができたとき、よぼよぼになるまでいっしょに仕事しましょうね、と言ったら、よぼよぼにはならないでしょう、という応えが返ってきた。ずっと年齢不詳でいくらしい。

こどものころ、自分たちがどんなおばあさんになるのかしゃべっていると、わたしは骨と皮でガリガリに痩せた意地悪ばあさん(長谷川町子の描いたような)になるにきまってるとみんなが言う。骨と皮の間にだいぶ余分なものがついて予想のようにガリガリではないけれど、意地悪は好き。父親の『文藝春秋漫画読本』にいつも載っていた「意地悪爺さん」を愛読して、ああいうおじいさんの友だちがいるといいなあと思っていた。おばあさんの友だちはいたが、おじいさんには恵まれなかった。

テディのころの片岡さんには『意地悪な本』という著書があるが、いまも単刀直入な意地悪度が高くて清々しい(笑)。意地悪が好きな編集者にとっては仕事がしやすくて、よぼよぼになるまでやっていけそうな気がするのです。
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by suigyu21 | 2008-06-24 17:30 | Comments(3)

白い指先の小説

ここ半年あまり編集に携わってきた片岡義男さんの短編小説集『白い指先の小説』(毎日新聞社)の見本を先ほど手にして、ひとり完成を祝う。今度は小説を書く女性たちが主人公なので、『青年の完璧な幸福』の姉妹編だととらえている。内容をあまり暗示しない抽象的な表紙は淡いブルーの色合いが美しい。装丁は藤田知子さん、イラストは本村加代子さん。
きょうたまたま開いた『本よみの虫ぼし』(関川夏央 岩波新書)に片岡さんの小説についての言及をみつけたのも何かのシンクロかもしれない。
「日本近代文学からは切れているかに見える片岡義男だが、こういった批評的な態度と一種の無常感の両立ゆえに、より広く日本語表現としての文学を考えるとき、彼はそのもっとも重要なにない手のひとりとなるのである。」
同感です。
『白い指先の小説』、内容についてはあえて沈黙を守るけれど、おもしろさは保証します。読んでね。
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by suigyu21 | 2008-06-18 22:18 | Comments(0)

ふともも科のバンジロウさん

銀座に行ったついでに沖縄県物産公社「わした」に寄ると、トロピカルフルーツのコーナーに、おお、バンジロウがある。夕方のせいか2個しかなかったが、2個とも買った。バンジロウはグァバの和名。好物なのです。奄美や沖縄ではそのへんの庭木としてよく見かける。ちいさな実がなっていることもある。完熟するといかにもトロピカルな甘い味だが、未熟なものはそれよりおいしいと感じる。ほんのり甘く、ほんのり青くさい。切ってみると、中は白いのとピンクのとあるが、外からはどちらかはわからない。そのままでもおいしいが、タイでするように塩と唐辛子粉をまぜたものをちょっとつけると、甘さと青さが際立って、よりおいしくなる。未熟なマンゴーもこうして食べるとおいしいよ。
去年の夏の奄美では、パッションフルーツは1個150円、バンジロウは一山150円。一山で何日も楽しんだ。
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by suigyu21 | 2008-06-11 21:20 | Comments(1)

ごまかしはききません

製本をためすようになって、ときにはひとといっしょに同じ作業をしてみると、当然のことながらひとそれぞれでおもしろい。きっちりとした仕上がりはだれもが望んでいることだけれど、なかなか理想通りにはいかないのがまたおもしろい。針と糸という慣れ親しんだ道具を使うので、つい編み物や縫い物のモードになってしまう。編み目や縫い目のひとつやふたつはかんたんにごまかせるし、最終的にカタチになればいいということだが、本はかっちりしたカタチをもっているので、細部をごまかすと、それがかならずカタチにあらわれてしまうのですね。工芸品のような精緻なものをめざしているわけではないといっても、本そのものの精緻なカタチはちゃんと意識していないといけない。ごまかしはきかないと自分に言い聞かせて、きょうも一冊綴じてみようと思うのだが、その前のテキストを印刷するという準備段階に意外に時間をとられてしまって。。。。
テキストは自前でプリントするところまで出来るようになったのに、製本の技術がそれに追いついていないと思っていた。きょうはそれが逆転しているように感じられる。
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by suigyu21 | 2008-06-08 12:57 | Comments(0)