水牛だより

10年たって

「Like a Water Buffalo(水牛のように)」というCDを水牛レーベルで出したのは2005年4月のことだった。プロデュースは御喜美江+水牛。ネットで販売するための紹介にはこんなふうに書いた。

高橋悠治作曲のアコーディオン・ソロ「Like a Water Buffalo」
この曲のもとになった詩と歌ではじまり、4人のソリストが母国語で詩を朗読し、演奏します。
・フリードリヒ・リップス(ロシア)
・エルスベート・モーサー(スイス)
・マッティ・ランタネン(フィンランド)
・御喜美江(日本)

それぞれ全く異なった風土と文化の中で育った4人
それぞれ異なったシステムのアコーディオンを演奏する4人
全く違った言葉を母国語とする4人
レパートリーも演奏スタイルも頗る違う4人
「Like a Water Buffalo」の種をその地に蒔き、水をやり、日を照らし、育ててきた4人

Song for 'Water-buffalo'----the original poem and song
01 Poem read by Wendy Poussard
02 Song played by Suigyu (Water Buffalo) Band

Like a Water Buffalo----for accordion solo
■ Friedrich Lips
03 Poem in Russian
04 Bayan solo
■ Mie Miki
05 Poem in Japanese
06 Accordion solo
■ Elsbeth Moser
07 Poem in German
08 Bayan solo
■ Matti Rantanen
09 Poem in Finnish
10 Accordion solo


たったひとつの短い曲を複数の人が演奏し、それだけでなく、演奏者による詩の朗読も収録するというアイディアは、御喜美江さんから演奏者への呼びかけがなければまず実現できなかったものだ。この曲への愛があり、アコーディオン奏者への愛があり、水牛への愛がある、そんな御喜さんが結んだひとつのかたちが一枚のCDに納められている。ブックレットも充実していて、紙のジャケットがはちきれそうなほどだ。

夏の終わりの夜、東京に戻っていた御喜さんたちと会って飲んだ。そのときにこのCDの在庫がもうないので、少し増刷(というのかな)しようかという話になった。マスターは残ってはいるはずだから、増刷はとても安く作ることができる。しかし、そんなことをしなくてもよいのではないか。演奏した四人が必要ならば、勝手にすべてをコピーして売るなりプレゼントしたりすれば、それがこのCDにとってはもっともふさわしい、ということで、御喜さんとは意見が瞬時に一致した。いわゆる、禿同、ってやつですね。

CDを作ったからといって、水牛がそのCDについてのすべてを把握していなくてもいい。その後はそれが一人歩きして、必要な人に愛されてくれればそのほうがずっといい。


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by suigyu21 | 2016-09-13 20:00 | Comments(0)