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水牛だより

忙中にこそ閑がある

自宅のすぐ近くに公立の図書館があるので、自分の書斎と思って利用している。最近、借りられる冊数が5冊から15冊になって、とっても便利。ちょっと読んで、必要だと思った本は買うことになるのだから、発売からひと月は貸出不可、だなんて、出版社が言うのは自分が作っている本に対して失礼というものだ。

その図書館の裏には人口の浅い池がある。真っ白や真っ赤や真っ黒や、その混合や、わりと大きな鯉が泳いでいて、浅いせいなのか、背中が水面の上に出ていたりする。池の端から水面に小さな飛び石が3つほどあり、幼い人たちが得意そうに石から石へ飛んでいる。池の端の一方は喫煙のためのスペースになっていて、池を見ながら煙草をふかす人たちがいる。

池のもう一方の道に面したところには一枚板の大きなテーブルが二つ用意されている。テーブルの両側のベンチもおなじ長さで一枚板のようにみえる。ベンチにすわってお昼ごはん(お弁当やらコンビニ弁当やら)を食べている人がいるし、読書している人がいて、彼らはだいたい一人だ。小学生が群れているのと、将棋をしているのは複数の人たち。小学生たちの中心になっているのはカードらしい。将棋のほうのおじさんたちは誰が持ってくるのか、一つから三つの将棋盤で対局していて、それを立ったまま取り囲んで観戦しているおじさんたちもいる。このごろのような寒い日でも、暗くなっても勝負が続いていることがしばしばあり、いつも勝負は真剣なようだ。光景としてはこどものころから見知っているけれど、全員が身なりに気を使っていないおじさんたちはいったいどこから来るのだろうか。

不思議に満ち足りている雰囲気のおじさんたちを見ていて思い出すのは、ある犬のこと。自宅から乗ったバスが環七を渡るちょうどそこに一軒の不動産屋がある。バスはしばしば赤信号で停車する。そのちょうど横に面した店なので、つい見てしまう。物件の案内は出ていないし、もう積極的に営業はしていないように見える店の出入り口を入ったところに敷かれた玄関用のマットの上にいつも犬がねそべっている。犬はいつもねそべって寝ている。ご老体だということは見ればわかるので、たまに所定の場所に見えないと、死んじゃったのかなと思うが、次に通るとまたしっかり寝ている。冬はひだまりだし、夏は室内は冷房だし、いつだって気持ちよさそう。うらやましいなあと思いながら、バスに揺られて、なにかの用件のためにどこかに出向く自分なのだった。
by suigyu21 | 2015-12-13 22:24 | Comments(0)