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水牛だより

早春の午後

東海道新幹線が開業したとき、両親が静岡にいたので、学校が休みになるとピカピカのこだまに乗って帰省していた。そのころから線路は同じところにあるはずだから、沿線の景色は意外に見慣れているのだった。トンネルに入る寸前に見える、そのトンネルの掘られた山肌にはたくさんのみかんの木があって、いまも変わっていない。みかん色の実がなってる時期はかなり長いということも知っている。

静岡の家の近くには小さな川があった。その川にかかっている橋の隣の橋は新幹線の走る線路で、ヒュ〜ンと通り過ぎる新幹線が間近に見えた。新幹線からもわたしがかつて立っていたその橋はいまも見える。だから通るときはいつも見る。住んでいたころはたんぼに囲まれていたのに、だんだん工場と住宅だらけになった。人口爆発をこんなところで感じたりしているうちに、のぞみは目的地の京都に着いた。春の雪が降っていた。
by suigyu21 | 2009-03-08 21:27 | Comments(0)